2017年06月15日(木)

【6/20 世界難民の日によせて】シリア難民500万人、500万の先にあるもの。

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■ シリアから隣国ヨルダンまでの距離

「こんにちは。日本から飛行機に乗ってやってきました。」と、日本人スタッフが自己紹介すると、子どもたちからパチパチと歓迎の拍手が起こりました。シリア難民の子どもたちに対して行っている心のケアワークショップでの一場面です。

「日本からヨルダンまで、飛行機でどのくらいだと思う?」と問いかけると、「1日!」「うーん70時間?」「5時間!」と思いついた数字を元気に叫ぶ子たち。「正解は12時間!どう、近いと思う?遠いと思う?」と聞くと、やはり遠いと答える子が大半。

「じゃあ、シリアからきたみんなは何時間ぐらいかかってヨルダンまで来た?」と聞くと、シリアの中でもヨルダンに近い、シリア南部出身の子が、「1時間で着いた!」と答えてくれました。「他には?」ときくと「10日間。」と答える子が。思いがけない答えにびっくりして、「どうして?」と聞くと「家族で、色んな所に隠れながら来たから。」と教えてくれました。他にも同じく南部からでも何十時間もかかった子や、1日〜1週間という答えが大半でした。車で何事もなければ数時間で付く道程を、とんでもない時間と危険を犯してヨルダンまで逃れてきた子たち。笑顔を見せるその裏には、幼いながらも壮絶な記憶を抱えているのだと、改めて感じずにはいられませんでした。

▲笑顔を見せてくれる子どもたちですが、一人ひとりが壮絶な記憶を抱えています

■ 続く、500万通りの避難生活

 2011年のシリア紛争勃発から6年が経ちました。現在も、ヨルダンへ避難したシリア難民は生命を脅かされる危険からは逃れたものの、過酷な避難生活を余儀なくされています。

ヨルダンに住むシリア難民の約8割が難民キャンプではなく、市街地で生活を送っています。やっとの思いで借りたアパートも大家族には手狭で、最低限の家具しかない家もめずらしくありません。家賃や電気代を払うお金が足りないため、男手が第3国へ出稼ぎに行かざるをえずバラバラになった家族、シリア国内で拘束されたトラウマと闘う男の子、避難先で仕事が見つけられず母親としての自信を無くした女性…。500万人のシリア難民が500万通りの記憶を抱えながら、苦しい生活を送っています。

▲子どもたちの話を聞くNICCO現地スタッフ。涙を流す子も少なくありません。

苦しいとあえいでいるのはシリア人だけではありません。シリア難民の大量流入が原因となり、ヨルダン国内では家賃の上昇や雇用の現象といった様々な社会問題が起きています。そしてこれがヨルダン人の貧困層の生活にも大きな影響を及ぼし、ヨルダン人とシリア人の間で溝が生じているのです。

 

■ シリア難民を、物資面と精神面から支える支援を

 このような状況を改善するために、NICCOでは、シリア難民とヨルダン人貧困層の両方に不公平感が生じないように最大限の配慮を行いながら、支援を続けています。

NICCOは、食糧クーポンの配布、紛争体験が原因となるトラウマや、避難生活に伴うストレスを抱える人々をケアするカウンセリングサービス、刺繍や料理、英語・パソコン教室といった能力の向上につながる教室の実施、子どものトラウマケアを目的とした心理社会的ワークショップの運営、などを行い、シリア難民を物資面と精神面から支えています。

▲食料クーポンの配布に集まったシリア難民の方々。2016年度は6,343世帯(22,160人)のシリア難民とヨルダン人貧困層に配布しました。

 

■ 聞いてほしい、シリア難民の「心の声」


どんな辛いことが起きても、母国へ帰りたい。
ハミードさん(大工ワークショップ参加者)

 私は、シリアの首都ダマスカス郊外の小さな村に住んでいましたが、爆撃を受けて息子と一緒にひどい怪我を負いました。トラックの荷台に3日間も揺られてヨルダンに運ばれ、20回以上手術を受けました。息子の怪我は治りましたが、彼はいまだに心に深い傷を負っています。私の怪我した足は不自由なままです。元気な頃は大工をしていたので、早く働いて家族を自由にしてやりたいです。今はこのままヨルダンに残るべきか、子どものみたいのために違う国へ行くべきか悩んでいます。でも本当はシニアに帰りたいです。どんな辛いことが起きても私たちの母国ですから。きっといつか、帰る日が来ると信じています。

 

私には夢が3つあります。
アミーラさん(心のケアワークショップ参加者)

 私には夢が3つあります。1つは、外科医になって多くの人を救うこと。2つ目は、全ての人にとっての平和が訪れること。3つ目は、家族が幸せでいること。ヨルダンに来てすぐの頃は、ヨルダン人から差別を受け、隣人からは大金を盗まれました。自分に自信を持てず、積極的に人と交わることもありませんでした。

 でも、NICCOの心のケアワークショップに参加して、悲しいことはすぐに過ぎ去り、喜しいことや幸せは長く続くものだということ、勇気を持って行動することを学びました。今は、自らお父さんに頼み込んでいい教育を受けられるようにヨルダン人が通う学校に転校し、大学の奨学金を取れるように一所懸命勉強しています。

 

毎日が楽しくなりました。
リナさん(JORIA料理教室参加者)

 シリアから逃げてきた時の私は、生きている意味が見い出せず、とても辛い思いをしていました。NICCOのワークショップに参加してから、スタッフや参加者の女性たちとお料理をしながら、おしゃべりしたり、笑ったり、つらい経験を分かち合うことで、自分の心の安定を取り戻し、毎日が楽しく感じるようになりました。

 今は、女性の経済的自立を目的とするグループ「JORIA」に参加し、ワークショップで教わった技術を用いてお菓子や手芸品を作り、販売することで、娘の学費を稼げるようにまでなりました。NICCOは他の団体とは違い、「魚をくれるのではなく、魚の釣り方」も教えてくれました。これは私の今後の人生で大きな希望につながっています。

 *JORIAについて詳しくはこちら

 

彼らが、いつかきっと故郷に帰る日が来ると信じて、ご支援をお願いします。

 一度は停戦したにも関わらず、2016年12月、空爆は再開されました。また2017年4月には化学兵器を使った攻撃が日本でも大きく報道されました。泥沼化、という声も聞こえる中で、NICCOが活動するザルカ県とザアタリキャンプに住む、一握りの尊い命だけでも支えていきたいと強く思っています。シリア難民500万人という大きな数字の中に、私たちと同じ一人ひとりが存在していることを知ってください。「助けてほしい」と声をあげてくれた目の前にいる彼らが、いつかきっと故郷に帰る日が来ると信じて、寄り添い支えていくためには、あなたのご支援が必要です。

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