途上国のトイレ事情
NICCOが活動してきたアフリカのマラウイやケニアをはじめ、多くの途上国では、穴を掘っただけの「ぼっとん便所」や、物陰で済ます屋外排泄が主で、衛生的なトイレが整備されていません。雨期にはトイレから流れ出した汚水が感染症や下痢の蔓延の原因になり、これらの病気によって特に免疫力の弱い子どもたちが命を落としています。
エコサントイレ循環の仕組み
そこでNICCOは活動している地域で、エコロジカルサニテーショントイレ(環境衛生式トイレ)、略して「エコサントイレ」を普及させるべく活動しています。
エコサントイレは、地面の上に立てた高床式のトイレなので、雨で便や尿が流れ出さず、汚水による水資源や土地の汚染を防ぐことができます。便は排便のたびに灰をかけ、半年間ほど便槽に寝かせて殺菌し、たい肥として土に還します。また、便と分けて回収する尿は水で薄めて液肥として利用します。エコサントイレからとれる肥料は、収穫量を肥料なしの畑よりも1.2~2.5倍に増やし、また高価な化学肥料の使用を減らすことができます。
① 地域の衛生改善
子ども向けエコサントイレ講習会の様子。正しく使用して、子どもたちに衛生に関する知識を養ってもらいます。
② 良い土壌の畑つくり
エコサン肥料の説明を受ける住民。便槽から取り出された肥料はサラサラの状態。
③ 化学肥料使用の抑制
比較栽培:化学肥料を使用しなくても作物の生育が良い。エコサン肥料無し(上)肥料あり(下)
人間の基本の営み、“食べて、排泄する”。その営みを自然のサイクルの一部と捉え、それにあらがうことなく安全で衛生的なものに改善する。その中心にエコサントイレを置いて、NICCO は衛生的で豊かな農村づくり支援を行なっています。
これまでにNICCOは、マラウィ、ケニアのカカメガ郡、ミャンマーで合計1,300基以上のトイレを建ててきました。現在は、ケニアのキスム郡やインドでも建設を進めており、地域の衛生改善や住民の豊かな生活の実現を目指しています。