マラウイの貧困問題
2005年、アフリカ南部のマラウイは干ばつによる飢餓に襲われました。NICCOは緊急支援として、食料や農作物の種などの配布を行いました。そこでNICCOは不衛生な環境、生産性の低い農業、医療機関の不足などの貧困問題を目の当たりにしました。この貧困問題を解決しない限り、ひとたび干ばつが起きれば、再び飢餓に襲われてしまいます。しかし、問題は複雑に絡みあい、どれか一つの問題を解決するだけでは決して貧困はなくなりません。
◀マラウイの面積は北海道と九州を足したくらいの小さな国。
飢餓の起きない村づくり
NICCOは、マラウイの複雑に絡んだ貧困問題を解決するため、2007年から2014年まで「飢餓の起きない村づくり(包括的な村落開発)」を行ないました。様々な取り組みを同時に進め、NICCOの支援終了後も自立した村づくりを継続するため、活動は必ず村人主体で行ないました。
活動紹介
①エコサントイレの建設・導入
エコロジカルサニテーショントイレ(環境衛生式トイレ)、略して「エコサントイレ」を建設しました。エコサントイレは便と尿を分けて集め、それを肥料として農業に使えるトイレです。衛生的なことと、高額な化学肥料を買えない村人たちに受け入れられ、マラウイで1,000基以上を建設しました。
②モリンガなど有用樹の植林
食用樹「モリンガ」や、燃料になる木「ジャトロファ」、果樹、などの植林を行ないました。植えるだけでなく、これら有用樹を利用した石けんなどの商品を開発し、村人の収入創出活動を支援しました。
③農業技術移転
エコサントイレから取れた肥料を使った農業技術を移転しました。この効果は大きく、作物の収穫量が2.5〜4倍増加した地域もありました。また、出費を抑制するために、マラウイ在来種を化学肥料や農薬を使用しないで育てる農業技術を伝えました。
④人材育成
全ての活動の源は「人」。活動を通じて、村の中でリーダーシップを取れる人材を育成しました。
⑤感染症対策
NICCOは蔓延するマラリアの防止のために蚊帳の配布と使い方を指導しました。またHIV/AIDS感染防止キャンペーン活動を展開しました。日本の大学の医学部と協力して、マラリアやビルハルツ住血吸虫症の一斉検査と治療を行ないました。
⑥安全な水の供給
村人が安全な水にいつでもアクセスできるように井戸の建設を行ないました。また、こぼれた井戸水で栽培できる菜園「ウォーターポイントガーデン」を作りました。今後はウォーターポイントガーデンで育てた作物を売った収入で、井戸の修繕費を賄えます。
⑦母子保健
日本人医師と看護師が常駐し、妊婦さんに対する母子保健教育を行ないました。また、病院までの距離が遠く、緊急時に病院に行けない妊婦さんや患者のために、「緊急搬送自転車」を導入しました。
⑧収入創出
支援が終わっても村人たちの力で「飢餓の起きない村づくり」を続けていけるように、有用樹モリンガを使った商品開発など、収入創出の取り組みに力を入れました。
これまでの活動
これからがスタート
NICCOの活動した7年間で、エコサントイレや循環型農業をマラウイの人たちの手で普及する可能性が見えてきました。産科施設や巡回診療のプログラムも公立の病院によって受け継がれています。2014年、NICCOはマラウイを後にしましたが、NICCOのようなNGOが去ってからが、貧困の克服に向けての本当の意味でのスタートです。