2021年08月03日(火)

ケニアでの母子保健事業の紹介

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みなさま、はじめまして。ケニア事務所の出口です。

 

当会ホームページを見ていただき、ありがとうございます。

今後、こちらのブログページでケニア事業の様子やケニアの日常を定期的に発信させていただきますので、ご覧いただけますと幸いです。

 

本日は、ケニアでおこなっている事業の1つである、母子保健事業についてお話させていただきます。

 

NICCOは、ケニア西部のビクトリア湖の湖畔に位置するキスム郡で、高い母子死亡率の改善を目指した母子保健事業を行っています。2019年に3年間の事業として開始し、今年が最終年である3年目になります。

 

活動内容は、大きく「ハード(施設などの整備や機材の導入など)」と「ソフト(人材育成や啓発など)」の2つに分けられます。

これまでの2年間では、主に

◆ハード

 ― スラム地域にある病院施設の修繕

 ― 産婦人科棟の建設工事の完工

 ― 産婦人科機器の導入

 ― 病院施設の排水設備の建設

 ― 病院施設周辺の道の修繕

◆ソフト

 ― CHV(コミュニティヘルスボランティア※)への母子保健知識トレーニング

 ― 事業地の村での母子保健講習会開催

などを行ってきました。

※CHV(コミュニティヘルスボランティア)とは・・・・

ケニア保健省が2006年から採用している地域保健政策(Community Health Strategy、CHS)に基づき、採用された住民ボランティアで、病院の手伝いや住民宅を巡回訪問するなどして、地域の保健・衛生のために活動しています。CHSは、国の乏しい人材および財源、脆弱な社会インフラでは対応しきれない保健・衛生面での問題に対して、地域住民たちの力で取り組み、解決を図ろうとするもので、CHVはその中で中心的な役割を担います。

 

(左)工事が中断したままの産婦人科棟内部 (右)完工した産婦人科棟内部

(左)修繕前の診療所前の道路 (右)修繕後の診療所前の道路

その中でも、今回はソフトの主要な活動である、母子保健講習会についてご紹介します。

NICCOはケニア政府の保健政策に沿って地域ごとに実施されている母子保健講習会をサポートしています。講習会は、毎週決まった日時に村の住人が集まり、1時間ほど母子保健に関するトピックを学んだり、話し合ったり、自身の経験を共有する場になっています。

参加者の大半は小さな子どもを持つ新米お母さんたちですが、子どもが既に巣立った先輩お母さんたちも参加しています。このお母さん同士で学び合う講習の形態から、ケニアではこの講習会のことを「Mother to Mother support group(お母さんからお母さんへの助け合いグループ)」と呼んでいます。

母子保健講習会の様子

母子保健事業の1年目には、NICCOがCHV39名に対して、25日間の母子保健知識研修を行い、そのCHVたちが、各村で講師として講習会を行います。村によっては、参加歴の長いベテランのお母さんが率先して講師役を務めることもあります。

NICCOが雇用するケニア人のフィールドスタッフは、毎週講習会を訪問し、母子保健知識についてはもちろん、講習会の進行やグループの円滑な運営についてなども、必要に応じて指導や助言をしています。

地域の住民の間では、間違った母子保健知識を持っていたり、科学的根拠の無い昔からの習わしが信じられていたりと、驚かされることも多々ありますが、お母さんたちの疑問や日々の習慣と根気よく向き合い、丁寧に説明することで、彼女たちは少しずつ正しい母子保健知識を身に付けています。

自身の経験を共有するお母さん

質問や意見が多く飛び交う講習会では、時に白熱し、時間が延長してしまうこともあります。

子どもの健康に対して熱心なお母さんたちの姿勢を見ると、やはり、「どこの国でも、お母さんはお母さんだなぁ」と思わせられると同時に、正しい母子保健知識を啓発することの大切さを改めて感じます。

 

2020年3月から開始した母子保健講習会は、現在、16の村で行われており、メンバーとして登録しているお母さんの数は全部で260人ほどになります。

Covid-19感染拡大の影響のため、講習会を4か月半ほど休止しましたが、実施回数は、現在までに通算600回を超えました。

母子保健講習の詳しい内容は、別の機会にご紹介させていただきますので、どうぞ楽しみにお待ちください。

 

この母子保健講習会を通して、地域で正しい母子保健知識が浸透し、お母さんたちと子どもたちの健康につながるよう、NICCOは今後も活動を続けてまいります。