ウクライナ人道支援

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プロジェクトの背景

2022年2月24日にロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始し、ウクライナとの間で激しい攻防が現在も続いています。多くの人命が失われ、町は次々に破壊されています。停戦に向けた交渉は難航し、戦闘は長期化するとみられています。

戦争はその理由や結果がどのようなものであれ、許されるものではありません。戦闘が長期化すれば、さらに都市が破壊され続け、経済活動も停滞し、市民の犠牲も増えていくことが予想されます。

駆けつける そばにいる

NICCOは、ロシア軍のウクライナ侵攻以来、国内外の関係団体や在外公館などを通じて情報収集を行っています。5月には、調査チームをウクライナの隣国ルーマニアに派遣しました。現地調査とその後の追加の調査から、避難を余儀なくされた人たちの状況がわかってきました。

避難民の状況

戦禍を逃れるためウクライナ国内で避難する人たちの数は8月24日時点で、660万人に上り、1,770万人が何らかの支援を必要としているとされています。なかでも、ウクライナ南部のオデーサ州では、支援が必要な人々が27万人もいるのに対して、支援を受けられている人は10分の1の2万7千人しかいない状況です。

また、ルーマニアと接する国境の町であるオデーサ州イズマイール市を詳しく調査すると、国内避難民は登録されている人だけで35,000人、実際には50,000人とも言われています。避難をされている方々の多くは、イズマイール市民の自宅で受け入れられているということも分かってきました。

迫りくる戦闘への恐怖

イズマイール市に逃れてきた人たちに聞いてみると、「NATO加盟国のルーマニアとの国境付近までは、ロシアの攻撃は及ばないだろう。いざとなったら川を越えて脱出もできる」と考えている人が多くいました。迫りくる戦闘への恐怖の中、緊張した状態で避難生活を送っておられます。また、国連機関の調べによると、国内避難民の6割の人が、避難時に仕事を失ったとされていて、経済的な不安も彼らを苦しめています。

イズマイール市の状況

イズマイール市は、元々の人口が7万人程度の地域でしたが、ロシアの侵攻後に約5万人もの国内避難民を受け入れることになりました。市の行政機能はひっ迫しています。

侵攻直後から地元の支援団体が、市民ホールなどの公共施設を市から無償で借り受け、行政と連携しながら、緊急物資支援を行っています。しかし、配布する物資が著しく不足しています。

また、市民病院は急激な人口の増加により、患者数が増加し、医療品の確保もままなりません。

 

支援内容

NICCOはルーマニアに拠点を置き、イズマイール市で避難生活を送っている方々へ食糧や生活必需品を提供しています。また、イズマイール市民病院に対しては、不足している医療品やベッドなどを送っています。これらの活動は、現地援助団体や現地行政機関と連携して実施しています。

提供している食糧

小麦粉、豆の缶詰、魚の缶詰、食用油、砂糖、塩など。(1人あたり1か月分)

提供している生活必需品

毛布、タオル、洗剤、石けん、シャンプー、歯ブラシ、歯磨き粉、下着、おむつ、カバン

病院への支援

イズマイール市民病院の患者数は、侵攻前に比べて1.8倍と急増し、入院患者は定員の1.3倍にまで増加しています。しかしながら、イズマイール市自体も国内避難民の受け入れで財政がひっ迫していて、市民病院の運営に十分な資金が確保できていません。医療品の不足や入院用のベッドの確保が深刻な課題となっています。

NICCOは、イズマイール市民病院と連携し、市民病院から必要な医療品のリストを受け取り、ルーマニアで調達し、市民病院まで運搬しています。

現地からの声

▲ルリアナさん(仮名) (生活必需品を受け取られた避難民の方)

私は戦禍を逃れるため、小さい子どもを連れてオデーサ市からイズマイール市まで逃げてきました。ウクライナでは、ロシアによってエネルギー施設が次々に爆撃を受けたので、電力が不足して毎日何時間も停電しています。停電中は、暖房が使えないため、とても寒いです。そんな中、NICCOの配布で、毛布をもらい、本当に助かりました。

 

▲ユルカ・エレナさん (医療品を受け取られた医師)

我々の病院には、耐え難い苦しみを抱えながら病院にやってくる避難民の人々がたくさんいます。地下に避難されている方の中には、呼吸器の疾患を抱えやってくる人が多くいます。その他、戦禍によるストレスで消化器官の不調を訴えて訪れる人も多くいます。

しかし、我々は十分な医療を提供してあげることができません。戒厳令下で医療への資金や医療品が軍に多く使われているためです。医師や病院関係者は本当に困っています。市民に対する医療体制は崩壊し、市民病院には医療機器はもちろん、医薬品もほとんど行き渡らない事態が発生しています。

 

▲エレナ・サバスツルさん 現地提携市民団体(CHIC:City Help and Interaction Center)代表 写真中央

私はイズマイール市の市民団体の代表のエレナ・サバスツルです。NICCOと一緒にイズマイール市に避難されている方々の支援をしています。

2月にロシアからの軍事侵攻で戦争が始まり、たくさんの避難民が私の住むイズマイール市に押し寄せて来ました。私は3月に彼らを支援するための市民ボランティア組織を立ち上げることを決心しました。5月にはNGOの登録も取れ、たくさんの心ある市民ボランティアの人々とともに、できることを精いっぱい頑張ってきました。しかし配る支援物資がだんだんとなくなってきました。ちょうどその時NICCOが我々を見つけてくれて、協力して援助物資をたくさん届けることができました。避難民の方々も本当に感謝しています。

日本の皆様、我々のことを忘れないでいてくださってありがとう。これからも戦争が終わるまで我々のことを忘れないでください。日本の皆様のサポートに心から感謝しています。

 

越冬支援

ウクライナに厳しい冬が訪れました
相次ぐ発電所への攻撃を受け、電力が不足しています。

オデーサ州イズマイール市は、北緯45度に位置し、日本の最北端宗谷岬と同じくらいの緯度です。12月に入ると朝は氷点下まで冷え込みます。
オデーサでは発電所がロシアからの攻撃で次々に破壊されたため、1日4時間しか電気が使えません。
NICCOは、避難された方々が冬の厳しい寒さを乗り越えられるように、毛布や発電機の配布など越冬支援を実施いたします。
皆様からのご寄付を集めております。ご協力をお願いいたします。

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