紛争の記憶と避難生活に苦しむ子どもたち
2011年のシリア紛争勃発から6年が経ちました。NICCOが活動するヨルダンに避難したシリア難民は、生命を脅かされる危険からは逃れたものの、シリアでの紛争体験や過酷な避難生活によって苦しい生活を送っています。
子どもたちも例外ではありません。目の前で家が破壊されたり、紛争で家族が離ればなれになったりするなど、幼いながらに壮絶な記憶を抱えている子どもたちが多くいます。
また、ヨルダンではシリア難民の大量流入が原因となり、教育や家賃の増加などの問題が発生していて、ヨルダン人の貧困層の子どもたちも厳しい生活に直面しています。しかし、彼らにも十分なケアが行き届いていません。
▲NICCO現地スタッフに涙を見せる子ども。スタッフは子どもたちの話を聞いて、共感してあげることが必要とされます
NICCOの解決方法
NICCOは、シリア難民とヨルダン人貧困層の子どもたちを対象に、心のケアを実施してきました。
心のケアワークショップとは、紛争や困難な日常生活から生じた心の傷を描画や語りによって表現し、それをありのまま受け止める周りの人々との対話を通して、子どもたちが自らの心の傷やトラウマと向き合い、ストレスを軽減させていくことを目的としたプログラムです。2013年の開始以降、1,000人を超える子どもたちがこのプログラムに参加しました。
▲ワークショップで発声練習をする子どもたち。まずは、誰にも制限されず、安心して大きな声を出すことから始めます
▲粘土を使って理想の街のジオラマを作るワークショップ
参加者アフマド君(仮名)の場合
ワークショップに参加したアフマド君(仮名)は、口数が少なく、自閉症のような症状が見られる12歳の男の子。アパートに5人家族で暮らしていますが、父親はもう2年ほども働くことができず、貯金を切り崩しながら何とか生活しています。
近所に同年代の子どもがいないため、同年代の子どもと接する機会が少なく、学校にも通えていませんでした。
ワークショップでは、他の子どもたちとも馴染めず、演劇の練習中も手持無沙汰な様子でした。ワークショップの内容や演劇の自分の役について理解することも難しく、一人ぽつんと座っていることもしばしば。しかし、NICCOスタッフのサポートを受けて、少しずつみんなの前に立って感情表現が出来るようになりました。ワークショップの一環として行ったスポーツ・レクリエーションでは、他の子どもたちとハイタッチをして喜ぶ姿も見られました。今では学校にも通い始め、友達が1人できたといいます。
▲アフマド君を励ますNICCO現地スタッフ
▲喜怒哀楽を表現するゲームに取り組むアフマド君(写真右から二番目)
アフマド君のように、子どもたちはそれぞれ問題を抱えていますが、一人ひとりがそこから立ち上がっていこうとしています。NICCOはこれからも、傷ついた子どもたちの心のケアを続けていきます。ご支援をよろしくお願いいたします。
あなたのご支援でできること
5,000円で、ワークショップで使う子どもたちが使う絵の具を10セット購入できます。
(この絵の具は、自分の夢を白い紙粘土でつくって、絵の具で色付けするワークショップで使います。)