シリア難民支援(過去の活動内容)

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 プロジェクトの背景

2011年にシリアで内戦が発生してから10年以上が経過しています。内戦の勃発以来、戦禍を逃れて近隣国をはじめ世界各地で難民生活を送るシリア人は増え続け、現在、約660万人(※国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に登録されている人数)まで上っています。私たちが活動するヨルダンへ避難されたシリア難民は約66万人で、彼らの多くは過酷な生活を送っています。ヨルダンでは66万人ものシリア難民を受け入れていますが、受け入れに伴って家賃や物価が上昇し、雇用が減少するなど様々な社会問題が発生し、ヨルダン人の生活にも大きな負担がのしかかっています。私たちは、このような状況を改善するために、シリア難民とヨルダン人貧困層の双方に不公平感が生じないように配慮を行いながら支援を続けています。

プロジェクトについて

1. コミュニティスペースの提供

ヨルダンに住むシリア難民の約8割は、難民キャンプではなくアパートを借りるなどして地域社会の中で暮らしています。私たちは、2012年から、ヨルダン西部ザルカ市周辺に難民となった人たちが安心して集まることのできるコミュニティスペースを設け、心のケア、刺繍や石鹸作りといった女性の社会進出支援プログラム、英語教室や、健康・法律相談などの支援を提供してきました。

▲演劇などの活動を通して、子どもたちがPTSD(心的外傷後ストレス障害)になるのを予防します。

私たちは、地域の団体が主体的に支援活動を展開できることを目指し、プロジェクトのノウハウを地域の団体に伝え、2019年には、「Princess Salma Center for Childhood」や「Kodraat」といった地域の団体に活動を移管することができました。また、心のケアは、2020年に開始したヨルダン青少年支援プロジェクトに引き継がれています。

女性の社会進出支援プログラムから、刺繍で収入創出を目指すグループ「JORIA」が立ち上がりました。JORIAの活動の一部は、現地団体である「Tribology」に引き継がれ、現在でも活動が継続されています。

▲刺繍で収入創出を目指すグループ「JORIA」が立ち上がりました。

2. 冬期の生活状況改善支援

2011年に始まった中東・シリア内戦では、シリアの国民2,200万人のうち半数が難民となりました。そのうち約66万人が隣国ヨルダンに逃れています(※国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に登録されていないシリア難民を含めると、その数は約136万人にものぼると言われています)。多くのシリア難民を受け入れるヨルダンでは、物価の上昇や雇用の減少などが起こり、人々の生活は苦しいものとなっています。

生活の苦しさに追い打ちをかけるのがヨルダンの冬の寒さです。特に12月から2月は雪が降る事もあり、厳しい寒さに見舞われます。難民や生活の苦しいヨルダン人は、雨漏りのする家を修繕するお金もなく、暖房器具や冬服を買うことも難しくなります。

私たちは、2018年より、シリア難民及びヨルダン人貧困層に対して、厳しい冬を乗り切るための現金給付支援を続けています。避難生活が長期化するにつれ、それぞれのシリア難民家庭で必要な生き抜くための生活物資が異なってきているため、物資ではなく現金を給付しています。特に2020年度冬は、新型コロナウイルスの影響で、一段と厳しい生活状況となりました。私たちは2018年より、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力して、収入源がなかったり、持病があったりする、特に貧しい家庭に対して支援を届けています。

▲(左)生活が特に苦しい人々を対象に現金給付支援を実施しています。

(中)家庭訪問で生活状況のヒアリングを行っています。

(右)シリア難民とヨルダン人貧困層に対して、厳しい冬を乗り切るための現金給付支援を続けています。

ブログ更新情報

2021年8月19日
世界人道デーとNICCOの40年間の人道支援の歩み
2020年2月11日
シリア難民支援の現場から日本の皆さんへ
2020年1月9日
ヨルダン事務所発!現地スタッフインタビュー Local staff interview from NICCO Jordan office