NICCOブログをご覧の皆様へ
日頃より暖かいご支援、誠にありがとうございます!
NICCOヨルダン事務所の平間です!
今回は、以前のブログでご紹介させていただいた「ヨルダンでの更生支援事業」の活動内容の一つとして実施している更生支援アクティビティについて少し詳しくお伝えしていこうと思います。
勾留施設の外観
NICCOが活動するこの施設では、 16歳から18歳の青年100名ほどが勾留生活を送っています。
彼らは一見、ヨルダンのどこにでもいるごくごく普通の青年のように見えます。
しかし“勾留”という言葉からも分かるように、彼らはお金目的の窃盗や暴力、薬物の所持や乱用など何らかの犯罪に手を染めてしまった青年たちで、裁判所の判決が出るまでこの施設で勾留されます。
NICCOはこの勾留施設にて更生支援事業を行なっており、その活動の一環として勾留生活を送っている青年たちに向けて、「理髪教室・農業教室・革加工教室」を開催しています。本事業では、これらの活動を「更生支援アクティビティ」と呼んでいます。
修繕された理髪教室の設備
ではなぜこれらのアクティビティを行っているのでしょうか?それには大きく分けて二つの理由があります。
一つは職業訓練の要素を含んでいることです。
ヨルダンは失業率の高さが社会問題となっており、約4人に1人は仕事がない状況です。このような環境は犯罪率の増加の要因の一つととなっています。
理髪・革加工・農業といった職業はヨルダン社会で需要が高いので、NICCOが提供しているアクティビティで養われるスキルは、青年たちが将来仕事を得るためのきっかけとなります。
そしてもう一つの理由は作業療法の要素を含んでいることです。
この施設にくる青年たちの中には、心に不安を抱えていることから犯罪行為に手を出してしまうような青年も少なくありません。
そんな彼らにとって、髪を切ったり革加工作業をしたり土に触れてたりと、実際に手を動かして作業し、モノを作ることは、心のモヤモヤを落ち着かせ、さらには集中力や自己肯定感を高める効果があります。
これら各種アクティビティは、1クラス5~10名の青年を対象に週に3回、1.5ヵ月を1セットとして、これまで計6セット行われました。
2020年の3月に事業が始まってこれまでに延べ180人の青年がアクティビティに参加しました。(8/31時点)
それでは実際に、アクティビティの様子を見てみましょう!
まずは理髪教室から。
バリカンを扱って理髪している青年たち
青年たちはお互いが練習相手となって理髪スキルを高め合います。理髪教室があるおかげなのか、施設にいる青年はいつもみんなさっぱりした髪形をしています。(笑)
最初はもちろんうまく切ることはできませんが、回数を重ねるたびにどんどん上達してきました。
(僕も今度散髪をお願いしてみようかな)
次は農業教室です。
修繕されたビニールハウスで野菜を育てる青年たちと収穫された野菜
管理不足により、ビニールハウスの骨組みだけが残ってどことなく空しい雰囲気が漂っていた農園スペースでしたが、NICCOが修繕して、立派なビニールハウスに復活しました。そこではきゅうり・トマト・ズッキーニなどが青年たちの手によって育てられています。
熱い中汗をかいて大変な作業ではありますが、土に触れて多様な植物と触れ合うことは心のケアにとても有効だと言われています。
ここで採れた新鮮な野菜たちは、他の勾留施設などに配られたり、ピクルス漬にして長期保存食として活用されたりしています。
施設でとれた野菜をピクルス漬にしてる様子
最後は革加工教室の様子。
修繕前のソファとそれを修繕している青年たち
ここでは、青年たちは革張りの家具の修繕などを行なっています。
役所等で使い古されてボロボロになった家具を引き取ってから、まず外革をはがして骨組みだけにします。外見はボロボロでも骨組みは丈夫なものが多いようです。
骨組みにした後、青年たちはお互いに協力しながら、座面や背もたれの中身のクッション等を詰めてそこにきれいな革を張っていき、まるで新品のような状態にまで仕上げます。
なんと先日、青年たちがNICCOのためにソファをプレゼントしてくれました。
(このソファとても座り心地が良い!)
青年たちが寄贈してくれたソファ
以上、今回はヨルダンの更生支援事業の一つである、更生支援アクティビティをご紹介させていただきました。いかがだったでしょう。
NICCOはこれからも、この事業を通して青年たちの健全な社会復帰を果たし、ヨルダン市民がより安心して暮らせる社会づくりに寄与できるよう頑張ります!
最後までご覧いただきありがとうございました!