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NICCOヨルダン事務所の平間です!
今回は、NICCOヨルダン事務所が実施している「少年勾留施設における更生支援事業」の一部活動についてご紹介させていただきたいと思います。
(過去の関連ブログ)
今回ご紹介するのは、NICCOが勾留施設で行っている「心のケアワークショップ」です。
▲「心のケアワークショップ」の様子
この「心のケアワークショップ」は、週に2日間(火曜・木曜)、NICCOの現地スタッフである心理社会的的ケア支援員と共に、10名程度の2グループに分かれた少年たちに対して行われています。
(心理社会的ケア支援員とは、当事業で、少年たちのグループワークやモニタリング等を通して精神的・社会的な悩みを抱えている彼らをサポートするスタッフです。)
この施設に勾留されている少年たちは、育ちの環境や友人・家族関係の悩みからくる精神的な不安を抱えている場合が多く、また自分の気持ちを表現する自己表現や相手の気持ちを汲み取る他者理解が苦手です。
そのような少年たちに対して「心のケアワークショップ」を実施して、少年たちの健全な精神状態を育み、地域社会で生きていくために重要な協調性やコミュニケーション・他者を尊敬しようとする力を養うことが期待されます。
それでは先日行われていたワークショップの一部をご紹介します。
ワークショップ①『サークル・プロセス』
▲円になって『サークル・プロセス』を行っている少年たち
こちらは、サークル・プロセスと言うワークショップで、自己表現や他者への傾聴力を養うために行います。
このサークル・プロセスでは、参加者が円になり、同じ質問に対して一人ひとりが順番に答えていきます。
その際、誰が話し手なのかを明確にして他の人が話し手の邪魔をしないように、話し手の“バトン”を使うことが特徴です。バトンを持つ人が話している間は、他の参加者は話し手に質問したり、話を遮ったりはせず、しっかりと話し手の話を聞きます。
▲今回のサークル・プロセスのバトンとして使われていたボール
今回のサークル・プロセスでは、少年たちの「今の気分は?」が質問です。
ボール(バトン)を受け取った少年が、今の気分やなぜそういった気分なのかを話しはじめます。中には、自分の気持ちを口に出して伝えることを恥ずかしがる少年もいますが、そういったときは心理社会的ケア支援員が優しい声で「いまはどんな気分?」「なんでいまリラックスしている気持ちなのかな?」と、笑顔で話しかけて、少年が話しやすい雰囲気を作り出します。そして話を終えた少年は、今度は次の少年にボールを渡します。
「今の気分は?」という質問に対して、少年たちはみんな一様に「うん、元気」と返事をしますが、なぜ元気なのか、その理由は人それぞれです。似たような気分(うん、元気。)であっても、さらにもう一歩深く踏み込んで元気な理由を聞くと、相手がなんで元気なのか深く知るきっかけになり、さらに多様な意見を傾聴する姿勢から他者理解する力の向上にも繋がります。またバトンを持った話し手は、聞き手が話を遮らずにしっかりと聞いてくれる環境で自己表現する経験を積み重ねて、少しずつ自分の気持ちを相手に表現できるようになります。
ワークショップ②『相手は今どんな気持ち?』
▲『相手は今どんな気持ち?』のワークショップの様子
これは他者の気持ちの理解を深めるためのワークショップです。
まずグループの中から一人出題者を決めます。出題者は、参加者の輪の中を何も喋らずに、何らかの感情を演じながら歩きます。
そして周りの参加者たちは、その対象者の表情や仕草・歩き方から対象者の演じている感情を読み取ります。
このワークショップでは、表情やしぐさから相手の気持ちを推測して、他者への理解を深める効果が期待されます。
出題者であるひとりの少年は、演じる感情を「怒り」と決めてイライラしたしぐさで歩きまわりました。そして周りの参加者は「怒ってる!」「いや悲しいんでしょ?」「疲れてるんじゃない?」と、その少年の感情を推測しはじめます。このように本人が抱いている感情と相手が読み取る感情は時として違います。このワークショップでは、そういった認識のズレを発見し、他者理解の難しさや対話の大切さを学ぶ機会となります。
▲どんな感情を抱いていたか話し合うグループワーク
まだまだ他にもいろいろな種類の「心のケアワークショップ」があるので、また後日ご紹介したいと思います。
「心のケア」というのは、言うは易く行うは難しで、少年たちの心の変化は見えづらく成果がでるまでに多少の時間がかかります。しかし、少年たちが健全な心理状態で社会に復帰できるよう、これからもしっかり着実に心のケアワークショップを実施していきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
これからもNICCOへのご支援のほど、よろしくお願いいたします!
平間