NICCOヨルダン事務所の平間です!
さて今回は、以前のブログに引き続きNICCOヨルダン事務所が実施している「少年勾留施設における更生支援事業」の「心のケアワークショップ」についてご紹介させていただきたいと思います。
(過去の関連ブログ)
――前回のブログから引用――
この「心のケアワークショップ」は、週に2日間(火曜・木曜)、NICCOの現地スタッフである心理社会的的ケア支援員と共に、10名程度のグループに分かれた少年たちに対して行われています。
(心理社会的ケア支援員とは、当事業で、少年たちのグループワークやモニタリング等を通して精神的や社会的な悩みを抱えている彼らをサポートするスタッフです。)
この施設に勾留されている少年たちは、育ちの環境や友人・家族関係の悩みからくる精神的な不安を抱えている場合が多く、また自分の気持ちを表現する自己表現や相手の気持ちを汲み取る他者理解が苦手です。
そのような少年たちに対して「心のケアワークショップ」を実施して、少年たちの健全な精神状態を育み、地域社会で生きていくために重要な協調性やコミュニケーション・他者を尊敬しようとする力を養うことが期待されます。
――引用終わり――
それでは、前回ご紹介できなかったワークショップをご紹介します。
ワークショップ③『ボディマッピング』
※①②は以前のブログをご覧ください。
▲現地スタッフが書いた「ボディマッピング」の例
こちらは、心と体の関係性を可視化して、感情の変化が体に対してどのように影響しているのかを知るためのワークショップです。
紙に体のイラストを描いて、対象となる感情を自分が感じている時、体のどこに、どのような影響が出るかを考えます。
少年たちとのワークショップでは、「怒り」の感情をテーマとして行いました。
怒りを感じるとき、その感情は私たちの体に様々なサインを送ります。
ある人は頭痛がでたり、またある人は顔が赤くなったりと、人によってその影響は様々です。
少年たちのボディマッピングを見てみると、頭やお腹、手にマッピングがされていました。
怒りによって頭やお腹が痛くなったり、手汗がでたりすることを認識しているようでした。
こうして怒りの感情が、どのようにして自分たちの体に影響しているのかを知ることで、ストレスマネジメント(感情抑制)が上手になり、突発的な怒りによって起こる暴力などを未然に防ぐことができます。
ワークショップ④『ジョハリの窓』
▲現地スタッフが書いた「ジョハリの窓」の例
「ジョハリの窓」は自己と他者の理解を深めるためのワークショップです。
まず少年たちは紙に大きな丸を書き、そしてそれを4等分にして4つの「窓」を作ります。(丸形ではなく四角で行われるケースが多いようです。)
各窓にはそれぞれ開放の窓、盲点の窓、秘密の窓、未知の窓と名前がついており、自分の性格や特徴を各窓に分類していきます。
書き終えたら、最後に少年たち同士で互いの窓を共有します。
▲出典:©株式会社シャイン:適性検査ポテトクより
このワークショップでは、自分自身の内面を見つめなおし、かつ他者との相互理解を深める効果が期待されます。
まず自分自身が思っている性格や特徴を各窓に書き込むことで自己理解を促進し、普段表に出していないコンプレックスや不安を改めて知る機会となります。意識していなかったけど無意識で隠している性格などが見えてくるかもしれません。
そして最後に参加者同士で窓を共有することで、お互いの性格や特徴の理解がより一層深まり、信頼関係も強くなります。また、「そんな特徴があったんだ!」とか、「君はこういった性格もあるよね!」といった新しい自分の一面を知る機会にもなります。自分が隠していたコンプレックスに対して意外と共感してくれるかもしれません。
このワークショップでは普段あまり考えない自分自身について考えるため、少年たちの集中力がやや切れ気味になっていましたが、心理社会的ケア支援員が積極的に声掛けして、少年たちの自己理解を促していました。
▲「ジョハリの窓」を書いている少年たち
今回見学した心のケアワークショップでは、少年たちと心理社会的ケア支援員の間にしっかりとした信頼関係が芽生えている様子がうかがえました。支援員によると、はじめはうまく感情を表現しない少年たちが多いですが、心のケアワークショップの実施を重ねるごとに少しずつ心を開いてくれるそうです。笑顔で積極性のある少年たちも多く、ワークショップでは明るい雰囲気が広がっていました。
NICCOヨルダン事務所はこれからも、少年たちが安心して社会復帰できるように根気よくサポートを続けていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました!
これからもNICCOへのご支援のほど、よろしくお願いいたします!
ヨルダン駐在員 平間