2021年10月20日(水)

ケニアの植林活動紹介

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こんにちは、NICCOケニア事務所の西岡です。

NICCOは、ケニアで母子保健事業を行う傍ら、環境保全のための活動も行っています。具体的には、住民グループが種苗場を運営することで、安価な苗を地域に提供し、持続的に植林を推進していけるような環境作りになります。

ケニアの森林率(国土のうち森林の占める割合)は7.9%程しかありません。日本の66~69%に対して、非常に少なく、世界平均の31.2%程と比較しても4分の1程度となります。

森林の少なさの原因は、国土の半分が半乾燥地帯で木々が育ちにくいということもあります。しかし、それだけでは、ありません。カカメガ郡やキスム郡のような、十分な降雨量が示されている地域でも森林率が低いのには別の大きな理由があります。

それは、薪燃料の使用です。

ケニアでは、いまだに多くの家庭で、主な燃料資源として薪が使用されています。薪燃料を使う家庭は、農村部で90%以上、全国的には64%程となります。

▲日常的に薪を使うケニアの人々

 

ケニアの国民にとって、薪は安価で手に入る燃料であり、生活に欠かせません。なので、環境が大切だからと薪の使用を止めさせることはできません。そこで、NICCOが取り組んでいるのは、生活に密着した植林活動の推進です。

地域の女性たちによる住民グループを作り、有用樹の苗を育てて売る、種苗場運営を彼女たちに行ってもらいます。種苗場運営をスタートするための資材や、トレーニングを、NICCOが提供することで、グループは苗木を地域に対して安価で販売できるようになります。植林は、薪燃料の需要が高いことから良いビジネスになります。

▲農業専門家から苗木の育て方などのトレーニングを受ける住民グループ

 

苗木は1つ10シリング(約10円)程度で購入でき、3年後には木になって、1本3,000シリング(約3,000円)で売れます。10,000円投資して、1,000本の苗木を植え、3年後に、3,000,000円程の収入を得るということも夢ではないわけです。

なので、苗木が安く手に入れば、多くの農家が苗を買い、自分の土地に植えるようになります。農家が木を売れば、わざわざ森の木々を切る必要もなくなりますし、切ったとしても、また、新たに木が植えられるので、森林減少が抑制できます。そして、この活動の大きなポイントは、ビジネスとして全ての過程が行われるので、住民たちの手で持続して行われることが期待できるということです。

活動は、2020年6月に緑の募金からの助成金を主な資金として、カカメガ郡とキスム郡にある、2つの村で開始されました。NICCOは、全部で8つの種苗場を建設し、8つの住民グループを組成。農業の専門家を招いて、種苗場運営に関する参加者へのトレーニングも行いました。その結果、2021年の2月後半から、苗木の販売が開始され、活動開始から1年になる、2021年6月までに、約7,000本の苗が販売されました。これだけの木が、地域で植えられたということになります。

▲完成した種苗場

▲種苗場で働く住民グループ

▲種苗場で育った苗木

▲住民グループ(右)から苗木を買う男性(左)

 

また、2021年8月には、8つの住民グループの協力も得て、合計3,000本の苗木を地域の農家に無料で配布、加えて、地域住民に土地を提供してもらい、2,400本の苗木を植える植林イベントを行いました。

▲地域の農家への苗木の配布イベント

▲植林イベント

今後は、軌道に乗った活動が住民たちだけで持続されていくよう、一歩引いたところから、彼女たちを見守っていくつもりです。