2021年08月19日(木)

世界人道デーとNICCOの40年間の人道支援の歩み

LINEで送る

●世界人道デー

今から18年前の2003年8月19日、イラクの国連事務所が攻撃を受けて100名を超える人道支援関係者が犠牲となる痛ましい出来事がありました。国連総会はこの事件が起きた8月19日を世界人道デー(World Humanitarian Day)と定め、世界中で自然災害や紛争などにより困難な生活を送る人々や、厳しい状況の中でも被災者への支援に尽力する支援者たちに思いを寄せる日としました。

2021年は気候危機をテーマに、世界中で人道支援に関するキャンペーンが行われます。年々深刻化する異常気象による被害は、大雨や大型台風による河川の氾濫や土砂災害という形で日本国内各地でも甚大な被害をもたらしています。また、世界に目を向けると、干ばつや熱波、山火事、洪水、熱帯低気圧などによる大きな被害が人々の生活に大きな被害を生じさせています。

NICCOは、2013年にフィリピンを襲ったハイエン台風による被災家屋や学校の修繕支援や、2018年の西日本豪雨により浸水被害を受けた家屋の消毒事業をはじめ、世界各地で自然災害に対する人道支援を行ってきました。

▲ハイエン台風被災家屋の修繕用資機材の配布(フィリピン・2014年撮影)

▲西日本豪雨では、より良い住環境を取り戻せるように浸水家屋の消毒事業を実施(日本・2018年撮影)

●NICCOの人道支援40年史

団体の創立からこれまでのNICCOの歴史を振り返ると、そこにあるのは常に「駆けつける。そばにいる。」という思いでした。1979年、カンボジア内紛により居住地を追われた難民への支援が端緒となり、現在の団体の前身となる「カンボジア難民救援会」が立ち上がりました。その後40年以上にわたり、一刻も早く日本や海外で自然災害や紛争による命の危険に直面する人々のもとに駆け付け、人々の生活が早期に復興し、精神的にも経済的にも自立した生活ができるように支援することを続けてきました。

▲NICCOのこれまでの歩み

この40年間、世界には常に助けを必要としている人々がいました。そして今もその状況は変わっておらず、困難の中にある人々を思い、共にその命を継続して支えていくことがNICCOの役割であり、設立当初から変わらない使命でもあります。しかし、絶え間なく変化するこの世界において「駆けつける。そばにいる。」を実践し、人々の未来に寄り添い支援を続けていくことは容易ではありません。そのような時にNICCOが立ち戻る場所は徹底した人道主義の考えであり、そしてまた命の危機にさらされている人々の心と地域の平和の構築を目指す思いです。

▲東日本大震災では感染症予防や悪臭を防ぐために防疫専門家と共同して害虫駆除を実施(日本・2011年撮影)

 

▲シリア紛争のトラウマや長期化する避難生活で心理的なストレスを抱えている子どもたちへの心のケア(ヨルダン・2016年撮影)

▲世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス対策用のマスクや消毒液の配布(ケニア・2020年撮影)

●駆けつける。そばにいる。

この8月より、NICCOはインドにおいて新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた人々への緊急支援事業を開始します。今年5月には1日の新規感染者数が40万人を上回るほどに感染拡大状況が悪化したインドでは、ロックダウンを伴う厳しい規制により多くの人が職を失いました。特に、コロナ禍以前から貧しい生活を強いられていた人々への影響は大きく、収入源を絶たれたことから日々の食事にも困る事態となりました。そこでNICCOは、特に緊急での支援を必要としている世帯を対象に、食糧配布支援を実施します。この活動の様子は今後ホームページなどでお伝えしていきます。

2021年には創立から42年を迎えるNICCOですが、これからも引き続き支援者の皆さまのご協力を賜りながら、世界中で助けを必要としている人々のもとに駆けつけ、寄り添いながら活動を続けてまいります。