ケニア:経済成長の陰で広がる貧富の格差
東アフリカの中心国として、近年、高い経済成長率を誇るケニア。しかし、地方や農村部はその発展から取り残され、貧富の格差が拡大しています。 NICCOが活動を行なうブシアンガラ村も、取り残された農村のひとつです。人口の90%が農業で生計を立てていますが、安全な水へのアクセス、感染症の蔓延、土壌劣化、低い農業生産性、森林減少など、さまざまな問題が慢性的な貧困の原因となっています。
持続的に発展できる村を目指して
2007年から7年間にわたるアフリカ・マラウイでの経験と実績を生かして、ケニアでも農村支援事業を実施しています。 NICCOの支援終了後も現地が事業を自主的・持続的に発展させていくことを念頭に、村人による事業運営委員会の組織、村人自身による事業への出資など、村の人々が活動の主体となる仕組みづくりに取り組んでいます。
エコサントイレを活用した村づくり:5つの活動による生活改善
エコロジカルサニテーショントイレ(環境衛生式トイレ)、略して「エコサントイレ」の建設・導入により、衛生環境の改善と農業生産性の向上に取り組んでいます。エコサントイレは高床式のため、汚水が流れ出さず、感染症の拡大や水資源の汚染を防ぐことができます。 また、便と尿を分けて集め、肥料として農業に使うことで、収穫量を増やし、化学肥料の使用を減らすことが可能になります。エコサントイレの建設は、日本人専門家をケニアに招き、養成された現地の技術者たちが担います。また、村の人々自身がエコサントイレの材料費を出資するローンシステムの導入を進めています。
NICCOは、既存の深井戸を修繕し、水道パイプを延長することで、安全な水へのアクセスを確保し、子どもや女性たちの水汲み労働の負担軽減を目指しています。 また、使用量測定メーターを使った新たな料金徴収システムを導入し、井戸や水道パイプを継続的に維持管理できる仕組みづくりに取り組んでいます。
ブシアンガラ村では、人口増加による薪や材木用の伐採が増え、森林の減少が問題となっています。そこでNICCOは、薪用の苗木や果樹の植林活動を行っています。 また、薪の使用量を1/2〜1/3に削減する改良かまどの建設技術を村の技術者に教えています。
現地で生産された農産物を活用した商品開発に取り組みました。また、地域の需要や販売方法の調査を行い、マーケティング支援も実施しています。
女性の意見や要望を取り入れるため、村の事業運営委員会に一定の割合で女性メンバーに参加してもらいます。また、女性の地位向上委員会も立ち上げました。家庭内での女性の役割や、共働きへの理解促進を目指す一方で、男性側の意識の変革に向けて、男性向けのワークショップを開催します。