2016年09月30日(金)

エコサントイレ建設現場レポート①

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はじめまして。インターンの太田です。

私は念願のアフリカ、ケニアに渡航し、農村開発のプロジェクトに携わる機会をいただきました。

しかし、農村開発と聞いてもパッとそのイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。私自身、現地に来るまではプロジェクトがどのように進められるのか、具体的に想像できませんでした。

そこで今回は読者の皆さまに少しでも現地事業の具体的なプロセスを感じてもらうため、NICCOケニアの中核事業でもある、NICCOが開発したエコロジカル・サニテーショントイレ(略称:エコサントイレ)の建設についてお伝えしたいと思います。

※ケニア事業全体についてはこちらのページをご参照ください。

 

エコサントイレの建設

エコサントイレの建設と一言に言っても、その中には様々な要素が含まれています。

まず、建設事業は主に二通りの方法があります。

一つは公共施設、つまり、幼稚園や小学校、中学校での建設ともう一つが、個人住宅での建設です。

個人住宅向けの建設事業では、エコサントイレの建設費用を自分たちで賄えるようにするためのローンシステム、収入創出のための養鶏の導入などがあります。

また建設事業の他には、エコサントイレの使用に伴って蓄積される排泄物から作る肥料を使用した農地の収穫調査などがあります。

これらの様々なエコサントイレに関連する活動を総括するのが、NICCO現地スタッフのGeoffery(ジョフェリー)です!

 

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彼は、活動地(20㎞²くらいの大きさ)の地理や、学校のロケーションなどに詳しいスタッフです。現地スタッフでは最年長で、とても落ち着いていて大らかです。

私は日々、Geofferyのお手伝いをしているのですが、今回は読者の皆さまに農村開発の具体的イメージを描いていただくためにも、公共施設でのエコサントイレ建設開始までの流れについてご紹介したいと思います。

皆さんもぜひ、Geofferyになったつもりで、建設までの道のりを追ってみてください。

 

建設までの道のり

では早速Step1から始めましょう。

Step1:学校訪問

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Geofferyが管理するリストを参照し、まだエコサントイレについての説明するために訪問にしたことがない事業地の小学校や中学校に訪問します。

このとき、日本であれば先に電話をした方がいいのではないか、とか、誰かに推薦状を書いてもらった方が話を進めやすいのではないか、などと思いがちですが、ケニアではとりあえず訪問してみます。

 

Step2:NICCOとエコサントイレの説明

 

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その日に学校に居る一番位の高い人(校長先生がベストですが副校長先生などと話す場合もよくあります)にお話をきいてもらうようにお願いし、まずは、NICCOケニアの組織説明やエコサントイレ建設事業、エコサントイレの有用性についての説明を行います。

※エコサントイレの詳しい有用性についてはこちらのページをご参照ください。

 

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その後で、学校側の現在のトイレの使用状況や、生徒数、トイレの新たな建設の必要性などについて聞き取り調査を行います。

現在は、既にいくつかの小・中学校で建設が完了し、実際に使われているエコサントイレが複数あるため、その評判をきいたことがある校長先生などであれば、建設に対して前向きな姿勢を示してくれるのですが、校長先生や副校長先生が賛同してくれたからと言って、すぐに建設が始められるわけではありません。

 

Step3:学校関係者の合意をとる

訪問後、校長先生の同意がとれた後には、学校の委員会での承認が必要となります。

この委員会には保護者などの学校運営に関係する一般の方々も含まれているため(日本でいうPTA)、予算や、エコサントイレの肥料利用について賛同されない方や、懐疑的な方々もいらっしゃいます。

校長先生や他の賛同してくださる関係者の方々と協力し、この人たちをいかに説得していくかがGeofferyの腕の見せどころですね。

 

Step4:建設材料集め

晴れて学校委員会での承認を得られた後は、学校側が最低限用意しなければならない砂利と砂、レンガを集める作業に入ります。

施設の状況によって、お金を年間資金などから抽出する場合や、資材自体を生徒や関係者から集める場合などがあります。

 

Step5:同意書への署名

資材の準備も最終段階を迎え、建設まであと一歩のところまで来ると、学校とNICCOの間で最終的な合意書が作成されます。

そこには、最終決定で何基のトイレを建設するのか、その内で男の子用と女の子用の比率はどうするのか、建設をいつ始めるのかなどの具体的な決定事項が書き込まれます。

これに学校側がサインし、学校関係者全体の合意が再確認できた時点で施工開始にたどり着きます。

 

 

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終わりに

いかがでしたか?

公共施設の場合は、必要最低限の三つの材料(砂と砂利とレンガ)さえ用意されれば、その他はNICCOが負担するという決まりになっていますが、それでも全て施設が建設を快諾するわけではありません。

自分たち(NICCO)のことをしっかりと説明し、相手側が事業の必要性を理解して、はじめて協力関係が築けるのです。

日本でも同様ですが、何かを始めようとするときは、こちらの主張だけを押して、相手の不安や状況を理解しないままでは、決して事業を成功させることができないこと、信頼関係を地道に築いていくことの大切さを痛感させられるプロセスだと感じました。

施設のエコサントイレ建設が始まってからもGeofferyはほぼ毎日建設現場に向かい、建設の状況を確認します。

これだけの苦労があって完成したエコサントイレを見たとき、嬉しさと達成感に包まれます。

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NICCOの活動を深く理解し、賛同した上で、地域のために一生懸命に働こうとしてくれる現地スタッフにはいつも感動させられます。

私も日本で働く際には、大きな使命感と責任をもって丁寧な仕事ができる人になりたいと感じました。

次回は「Step6:建設開始」以降の過程についてレポートしたいと考えています。興味を持っていただいた方は是非、ご覧ください。

 

ご一読いただき、ありがとうございました。

インターン太田綾乃