2016年10月21日(金)

エコサントイレ建設現場レポート②

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皆さんこんにちは。

前回は公共施設でのエコサントイレ(エコロジカルサニテーショントイレの略称)建設に至るまでをレポートしました。

(興味がある方は是非、前回も合わせてご一読ください)

そして今回は続きのStep(建設開始から)として、個人住宅での建設模様をご紹介したいと思います。

はじめに

レポートを始める前に、エコサントイレ建設の基本的な知識を共有します。

ケニア事業開始の際に日本から専門家の方を派遣し、エコサントイレの建設方法を現地の建設担当者(以下ビルダー)さんたちへ伝授してもらいました。

その結果、現地では15人のエコサントイレビルダーが誕生しています。

現在ではこの方々が中心となって建設事業を進めており、中には熟練した方も出てきているそうです。

トイレ建設の要請があった際には、これらビルダーの方々の中から、それぞれの生活拠点や予定などを考慮し、一番都合のよいビルダーさんに建設をお願いします。

エコサントイレを建設するためには、熟練のビルダーさんとその補助が必要となり、基本的に一基につき2人態勢で建設を行います。

今回レポートする、建設事例(Rihnaさんのお宅)のトイレ建設はSilvesterさんという方が担当されました。

彼は最近熟練のビルダーに昇格したばかりだそうですが、その手際はとてもいいものでした。

建設過程

では前置きはこのくらいにして前回同様、各Step ごとにご紹介していきたいと思います。

Step1:トイレ建設の場所を確認する

まず、エコサントイレ建設に必要な資材と道具を揃えて、建設現場となるお宅を訪問します。

簡単な挨拶と共にエコサントイレの建設場所を家族と一緒に確認します。

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Step2:トイレの足場となるセメント部分をつくる

建設場所の確保ができた後に、トイレの足場(便座を設置する土台)を作っていきます。

これはセメントが乾くまでに時間がかかることから、建設の際には一番に取り組む作業です。

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Step3:トイレの土台をレンガで作っていく

足場作りがひと段落すれば、次に排泄物のタンク(建物の土台)となる部分をレンガで作っていきます。

この際に縦横の長さや、積み上げるレンガが地面に対して平行になっているかに気を配り、完成するトイレ全体が傾いてしまわないように細心の注意が払われます。

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Step4:階段を作る

エコサントイレは高床式のため、学校や一般的な家庭で建設される場合には基本的に階段が設置されます。

しかし例外として、ご高齢の方や体が不自由な方が使用する場合は、その要望に沿ってスロープタイプのものや、階段の段差が普通より低いタイプのトイレも建設可能となっています。

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Step5:内装とドア枠を取り付け

トイレの内装と側壁づくりに取り掛かかります。一番初めに準備しておいた足場を設置し、その上に壁をレンガで作り、同時にドア枠も取り付けます。

ここまでくるとエコサントイレ感が出てきて、一度でも完成したエコサントイレの外観を見たことがある方は気づくのではないでしょうか。

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Step6:屋根を取り付ける

建設に使用されているレンガとレンガの間に針金を挟み、それをさらに屋根となるトタンに開けておいた穴に通して頑丈に縛ることで屋根を固定します。

屋根はエコサントイレ内を雨から守るためのとても重要な部分と言えます。

Step7:外壁をセメントで塗装し、内装の仕上げをする

レンガがそのままになっている外壁に、セメントを塗って最後の仕上げをします。

これは雨風の浸食からトイレを守るためにも重要ですが、こうすると見栄えも一気によくなります。

内装は最後にセメントで便器を作り、排泄物の穴を覆うための蓋を用意します。

Step8: ドアを取り付けて完成(Step7・8は前後する場合があります)

関係者の方々は難なく持ち上げるこのドアが、意外と重たいです。

運搬する際の積み下ろしでお手伝いしようと試みたのですが、あまりの力の無さにビルダーの方たちが見かねて手を貸してくれたというエピソードもありました。

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まとめ

こうして個人のお宅に出来上がったエコサントイレは、家族の方をはじめ、お家を訪ねてくる方にも利用していただき、口コミで村に広がっていきます。

建設件数としては、個人住宅は公共施設に比べてまだまだ少数ですが、

村のほとんどのお宅で行われる農業への貢献度は高く、エコサントイレを持つことは村の一つのステイタスとなっているようです。

終わりに

建設事業に携わることで、より多くの人にとってエコサントイレが地域の環境や有機栽培について学ぶきっかけになってほしいという思いが強くなりました。

彼らが素晴らしい自然を現代まで保持し共存してきたからこそ、これからもその存在を軽視せず、上手に活用しながら彼らの生活レベルを向上させてほしいと思います。

そしてNICCOの活動や知恵が、彼らに寄り添う一つの生活の糧となれば、私たちの行う国際協力に大きな意味が生まれるだろうと感じました。

今回の一連の経験は、私にとってとても貴重な体験となりました。

今後も国際協力に関わりたいという気持ちを再認識できたからこそ、今回のインターンで感じた気持ちを大切に、日本に戻ってからも学び続けたいと思います。

二回にわたって説明させていただいたエコサントイレ建設事業についてのレポート、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。

読者の皆さまに少しでも、NICCOケニア事業や現地スタッフについて興味を持っていただけたならとても嬉しいです。

インターン太田綾乃