NICCOが支援する事業地は3つ。そのうちの1つであるフザー村はエジプトにも近く南西に位置するハンユヌス行政区の中にあります。
今回のブログは、そんなフザー地区に住む農家の方とお話をしました。
このフザー地区の農家を仕切るのは、Bait Al Mostaqbal Association(日本でいう自治会のような組織)のマネージャーであるSobah Elbarra(50)さんです。彼女はこの自治会のリーダーであり、自治会で行われる女性や子ども向けのレクリエーション活動だけでなく、私たちの事業に参加する農業組合の活動も管理する、皆の頼れる“お母さん”的存在です。
▲フザー地区の農家事情をよく知る彼女は、支援先を決めたり、農家さんとの話し合いの橋渡しをしたりと積極的に事業に協力をしてくれます。
Mohoud Soluman Qoduh(31)さんは、81歳になる父親と3ドノム((1ドノム=1000㎡))の土地で農業を営んでいます。戦闘前は鶏小屋やビニールハウスも持つ農家でしたが、破壊されしまい農業用井戸しか残りませんでした。現在は、私たちが支給した灌漑パイプを使ってメロンやとうもろこしを栽培していますが、将来的にはまた鶏小屋を再開させ、高く売れる果実を栽培したいそうです。
Mohoudさんのようなガザ地区の農家はそのほとんどが、街で働いた経験も無く、他の収入手段がないため農地を破壊されても家族を養うために農業をつづけるほかありません。私たちの支援のおかげで、おおよそ500USDの支出を他の農機材に投資できる余裕が出来たといいますが、戦闘前の状態に戻すにはまだ時間がかかりそうです。
▲左奥に見えるのが戦闘で破壊されたビニールハウスの残骸。今育つ作物を売ったお金をコツコツ溜めて、ビニールハウスを修復したいと話すMahmoudさん(左)。
彼は、フザー地区で14ドノムの土地でメロンを栽培するHamdan Soluman Abdallah AbuToaymod(32)さん。戦闘で被害を受けた農家の1人です。以前はビニールハウスでズッキーニなどの野菜や果実を育てていましたが、2014年の戦闘によってついに全てを失いました。
私たちの事業を通して灌漑用パイプと作物の種苗を受給しましたが、さらに自分でナイロン製のシートを借金で購入し、生産性を高める工夫をしています。支援では必要な物の全てを供与するのではなく、Hamdan さんのように14ドノムを持つ農家さんにも、あえて支援は3ドノムのみを対象にすることで、農家さん自身の自立性を高めるようにしています。NICCOの支援が全てではなく、それをスタートとして自分たちの手で回復して欲しい、そんなふうに思います。
▲農家の方が自前で用意した農作物を覆うナイロン製シート。日差しは強いですが、これで農作物もすくすく育ちます。
▲育ったメロンを試食。甘い!笑顔がこぼれました。
今回の訪問は、自力で立ち上がろうとするガザの農家の方をどのようにサポートをすれば丁度良いのか、長続きする支援になるのか。そんなことを考えさせる日となりました。