こんにちは。小柳です。私は、パレスチナ・ガザ地区人道支援スタッフとしてエルサレムに赴任しています。
今回は、NICCOがガザ地区の学校で取り組んでいる、子どもたちが安心して水が飲める体制づくりの事業について、紹介したいと思います。
▲海に面したガザの地下から汲み上げた水は塩分濃度が非常に高く飲料水に適さない
ガザ地区では、十分な水処理施設の不足が深刻な課題となっています。特に、2014年のイスラエル軍とパレスチナ側武装勢力との大規模な戦闘では、水にかかわる多くのインフラが破壊されてしまいました。学校では、脱塩処理施設も戦闘の被害を受け、蛇口から出てくる水はびっくりするほどしょっぱく、子どもたちへの健康被害が心配されています。
▲NICCOが脱塩処理装置設置を予定している小学校の子どもたち
WHO(世界保健機関)の推定によると、ガザの病気の26%は水が原因だとされています。食べ物や不衛生な飲み水の摂取を通じて、下痢やコレラ、肝炎など疾患が引き起こされる可能性が高く、命にかかわる場合もあります。高濃度の塩分を含む水を子どもたちが摂取し続けると、様々な健康被害が出ることが予想されます。
▲処理が不十分な下水の地下への浸透や海への排水も健康被害の要因として懸念される
学校に通う子どものいる多くの家庭では、児童に市販の水を持たせていますが、経済的な負担も大きく、貧しい家庭では、汚染されたままの井戸水を摂取しているのが現状です。
先日、小学校で実施したアンケートで、「学校の飲み水の問題点は?」という質問に対し、「おいしくない」と答えた子どもも。え?!あの水をしょっぱい水を飲んじゃってるの?
▲学校の水飲み場。水衛生についての知識の不足も心配される
NICCOでは、ガザ市内の学校4校を対象に小型の脱塩処理施設を導入して、子どもたちが学校で安心して水を飲める体制を整える支援を開始しました。十分な水衛生に対する意識向上のため、各学校でのワークショップの実施も予定しています。
▲学校視察後に子どもたちがNICCOスタッフの車に手を振りながら追いかける
そんなに追いかけなくても、また来るんで大丈夫です!
次回は脱塩処理装置設置工事の様子を報告します。最後までしっかりサポートさせていただきます。
皆様の応援、よろしくお願いいたします。