2017年10月12日(木)

一石三鳥のエコサントイレ

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こんにちは!ケニア事務所インターンの田川みこです。

8月末から始まったケニア生活にはすっかり慣れました。先日は人生で初めてサファリへ行き、アフリカの大自然を感じてきました。

▲ナクル湖国立公園のビューポイント

▲シマウマやキリン、ライオンなど多くの野生動物に会うことができました

NICCOケニアではエコロジカルサニテーショントイレ(通称エコサントイレ)を活用した包括的な農村開発プロジェクトが行われており、今年11月の事業終了後も村の住民たちが彼らの力で持続的に活動を続けられるよう、自主的に活動に取り組んでいます。
前回は、とある個人宅でのエコサントイレ建設の様子をリポートしました。
また、環境衛生式トイレとも呼ばれるエコサントイレは、ケニアで古くから使用されてきたピットトイレによる土壌汚染を防ぐ役割を担っていることも紹介しました。(前回の記事もぜひご覧ください。)

今回は、エコサントイレの農業への貢献について、学校の現場からリポートします!

■学校のエコサントイレ

エコサントイレは、個人宅用にはひとつずつ建設するのに対して、学校などの公共施設ではいくつかが連なったエコサントイレを、女子用と男子用にそれぞれ建設しています。

▲村の小学校のエコサントイレ

内側は、尿を保管する穴と、それを挟む両脇に便を保管する便槽があり使用後には灰をかけて蓋をします。片方の穴がいっぱいになれば蓋を閉めたまま約半年間保管し、その間はもう一方の便槽を使用するという仕組みです。尿は定期的に取り出し、水で薄めます。

▲エコサントイレの内側。中央は尿の穴。左が使用中の便槽、右が保管中の便槽

▲エコサントイレの後ろ側。尿を取り出すポリタンクの様子

水で薄めた尿と、蓋をして保管を始めてから約半年後の便。
なんと、これらは肥料へと変化するのです!
これがエコサントイレのもう一つの役割、農業への貢献です。

 

■エコサン肥料収穫の日

今回紹介する学校では、エコサントイレの使用を開始してから約半年が経っていました。今日はエコサン肥料収穫の日です。

肥料は、エコサントイレの後ろ側にあるレンガを積み上げて作った壁を壊して取り出します。

▲レンガの壁を取り壊す様子

ついに肥料収穫です!大きな袋に詰めていきます。

▲大きなシャベルでエコサン肥料を収穫中

▲子どもたちも興味深々。みんな集まってきました

あとも形も無くなったパウダー状の、サラサラで質の良い肥料が収穫できました!

▲収穫したエコサン肥料

▲サラサラのパウダー状になり完全に無害化されています

NICCOケニアの事業地であるブシアンガラ村では、村人の多くが農業を主な職業として生活を営んでいます。

農業にこのエコサン肥料を使用すれば、良い土壌の畑をつくることができ、化学肥料と同等以上の収穫量を得ることができます。化学肥料使用の抑制にも繋がっているのです。

▲エコサン肥料の効果を村人に実感してもらうためのデモンストレーションファーム

デモンストレーションファーム(通称デモファーム)から収穫されたメイズ(トウモロコシ)は、村人たちの大切な食料となります。

▲デモファームから収穫したメイズの実を取るメンバーと子どもたち

このようにエコサントイレは、食べることと排泄することという人間の営みを、自然と調和した仕組みによって安全で衛生的なものに改善する、という役割も担っているのです。

1.地域の衛生改善 2.良い土壌の畑づくり 3.化学肥料使用の抑制
これら3つの役割を担っているエコサントイレ。

地域の人々に愛される画期的なトイレとして大切に利用され、今後もさらに多くの人々に届けられますように。

ケニア事務所インターン 田川みこ