インターン日記@ヨルダン「アラビア語教室が始まるまで(前半)」 からの続きです。
4.選ぶ ~本当に支援が必要なのは誰?~
さて、テストの日がやってきました。参加者が兄弟や友人を連れてきたこともあって、予想していた人数よりもたくさんの子どもたちがやってきました。しかし残念ながら、子どもたち全員に授業を行うことはできません。点数を確認し、どのレベルの子どもに合わせて授業を行うべきか検討します。点数を集計し、その簡単な分析などをやらせていただきました。きれいに整理し、現地スタッフがスムーズに仕事ができるようにサポートしていくことも日本人スタッフの業務です。
点数と生徒たちの情報を表にまとめ、点数順に並べ、学校の時間、人数などを考慮し、先生と相談しながら教室に参加する子どもを選びました。そこまで終わると、電話をかけたり、備品を購入したりするなどして初日に備えます。
5.クラススタート!! ~やっと子どもたちに出会えた~
そして迎えた初日!準備開始から実に1か月が経過していました。ついにこどもたちがやってきた・・・と言いたいところですが、うまくいかないのが現場です。時間になっても子供たちがやってきません。ここから電話掛けを開始します。大体の返答が、「今出たところ」でしたが、丁度電話をかけている際に到着する子もいました。さて、気を取り直してアラビア語教室のスタートです。
楽しそうに授業を受けている姿を見て、準備してきた甲斐があったなと思いました。ぎゅうぎゅう詰めの学校とは異なり、少人数で丁寧な指導を受けられるこの教室では、子どもたちが生き生きと学び、勉強を好きになってくれるのではないかと思います。
6.その後~よりよい授業にするために~
授業を始まればそれで終わりというわけではありません。より良い授業にしていくために、私は授業の評価シートを作成しました。授業を毎回見に行くファシリテーターがこれを使用して授業を評価し、その結果を先生と共有します。これは授業で得られた経験や問題点を共有することで、子どもたちが楽しみながら授業に取り組んでいけるか継続して改善していくためです。
7.改めて考える、「支援を受ける人を選ぶ」ということ。~
また今回、支援を受ける人を選ぶという作業に関わらせていただきました。難民のなかから、「より支援の必要な難民」を選ぶというのは非常に難しい作業です。テストのスコアや学校の時間帯など、いくつかのデータから上がってくる要素に拠って決めるのですが、当然ながら切り捨てられた要素もたくさんあります。数点の差で、支援を受ける人との境界線が引かれることもあります。必要な作業ですあり、その基準は間違っていないと思います。しかしながら、どのように線を引くのか、深く考えれば考えるほど。正解は無いように感じました。
私はNICCOのインターン終了後、途上国の開発に関わる仕事に就きます。今後はより大きな線引きを迫られるでしょう。仕事においても線引きの後ろにたくさんの人々がいるということを忘れずにいなければならないと実感しました。
長くなりましたが、以上にて、アラビア語教室の事業が始まるまでの報告を終わります。自分は子どもたちがすべての授業を受け終わるまで、ヨルダンに残ることはできませんが、彼らにとって未来を切り開く力の一助になっていることを願います。
インターン 塚田寛人
現在、シリア難民支援への「年末年始助け合い募金」を募集しています。厳しい冬を迎えるシリア難民のために、ご協力をよろしくお願いいたします。