マルハバ!(こんにちは!)
NICCOヨルダン事務所のインターンの稲垣です。
日本は1月の後半、突然の記録的な寒さで大変だったみたいですね。
こちらヨルダンも本格的な冬の真っただ中で、毎日バルダーン(寒い)です。
今回はNICCOがヨルダンにて、シリア難民支援を開始当初から継続的に行なってきた、越冬支援のための生活用品配布の様子をリポートします。
みなさん、ヨルダンというと、どんなイメージを持っていますか。中東に位置しているため、砂漠や荒野で暑い国のイメージがありますか?
確かにヨルダンは、夏には40度近くまで暑くなる乾燥した大地です。ですが、冬はかなり寒くなり、ヨルダンの首都アンマンの1月の平均最低気温は3.6度にまで下がります。もちろん雪が降ることも珍しくなく大雪になることもあります。
先日、アンマン市内でも少し雪が積もりました。
物資配布といえば食料品や日用必需品を最初に思い浮かべるかと思いますが、今回は越冬支援ということで、毛布やガスヒーターなどを配ります。
物資配布の対象者となるシリア難民の方々はわずかな荷物でシリアからヨルダン国内に避難してきたため、厳しい冬の寒さを乗り越えるための十分な装備がありません。また避難後は収入を得ることができないため、生活に必要な物を購入する余裕がなく、不自由な生活を余儀なくされている人たちもたくさんいます。こうしたシリア難民の現状を少しでも改善するために今回の物資配布が行われました。
NICCOでは年に数回、物資配布を行ないますが、今回はヨルダン北部のザルカ県に避難しているシリア難民の家庭のうち、特に支援が必要と判断した約750世帯を対象として、3日間にかけて越冬支援物資を配布しました。
配布した支援物資の内容は次の通りです。
・ガスヒーター(1世帯につきひとつ)
・ガスシリンダー(1世帯につきひとつ)
・ガス補充チケット(1世帯につき11枚綴りをひとつ)
・ブランケット(1世帯の人数分)
ガス補充チケットは、ガスを販売している業者に持っていくと、空になったガスシリンダーにガスを補充してもらえます。また支援物資はすべてヨルダン国内で購入しており、ヨルダン経済にも寄与しています。ちなみにNICCOでは過去に食品や衣料品、文房具といった支援物資もシリア難民に配布しています。
配布当日は、事前に電話連絡をした対象者の方々に、ザルカ市にある当会の支援センターまで来てもらうのですが、晴天に恵まれたおかげで、朝からセンターの周りは多くの人々で賑わいました。ヨルダンは日差しが強いので、みんなテントの中で順番を待ちます。
名前を呼ばれた人から受付で本人確認を行い、ガス補充チケットと物資引換券をもらいます。
その後、支援センターの倉庫前で物資引換券をブランケットやガスヒーター、ガスシリンダーと交換して持ち帰ります。
ここで大変なのは、その物資を運ぶということ。
配布する物資をすべて合わせるとけっこうな量になります。
ザルカ支援センターに来た人たちの中には、小さい子どもを連れたお母さんや杖をついたおじいさんなども多くいるので、ヨルダン人ボランティアなどが今回から導入したNEWアイテム「台車」を使って荷物運びを手伝ってくれました。自分も一緒になって手伝いましたが、ヒーターもシリンダーもとにかく重いので、なかなか大変な作業でした。そんな中でも小学生ぐらいの男の子たちがいろんな人たちの荷物運びを積極的に手伝ってくれていたのが印象的でした。
それでも物資配布が始まってしばらくすると、支援センターの周りは人と物と車で溢れかえってしまいました。ただ、今回はヨルダン警察のパトカーも積極的に協力してくれ、なんとかスムーズに物資配布は進み、支援物資を受け取った人たちは数人の家族でチャーターした車や乗り合いのバン、タクシーなどで嬉しそうに帰っていきました。いずれの車もパンパンでしたが。
3日間に渡って行なった今回の物資配布も、現地スタッフやボランティアなど多くの人たちの協力によって、特に大きな混乱もなく無事に終えることができました。
初めてこの目で見た物資配布の現場。直にシリア難民の家族たちと触れ合い、彼らの笑顔や「シュクラン(ありがとう)」の言葉が忘れられないものとなりました。
まだまだ2月に入ったばかりでヨルダンも寒い日が続きます。
ヨルダンで暮らすシリア難民の家族の厳しい生活が少しでも緩和され、無事に冬を越せることを願います。