2016年03月18日(金)

インターン日記@ヨルダン 最終回

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インターンシップを振り返って。

 

こんにちは。インターンの塚田です。1月の初めころに帰国しました。インターンを卒業するにあたって、これまでの総括を書きます。

ブログ_塚田さん_①

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲インターンとして初めて担当したチャリティマラソン大会当日。一番右端が塚田です。真ん中が現ケニア事務所の仙道さん、左端が現ヨルダン事務所の永山さん。当時は全員京都本部にいました。

 

「私の夢は世界平和です。」

 

これは、私が大学1回生の時に、奨学金の面接で放った言葉です。「世界中の人々が笑顔になれるように頑張りたいと思っています」とも言いました。

よくもまあ大真面目にそんなことを人前で言えたもんだと、当時の自分の身の程知らず加減に恥ずかしさを通り越して恐ろしくさえ感じます。

では、5年間の大学生活を通じて、インターンを通じて、身の程を知ったのかといわれると、そうでもないようでして、今でも私の夢は「世界平和」です。

ただ今は、もう少し明確になりました。自分が笑顔にしたい相手の顔が、浮かぶようになりました。

 

4人の子どもと妻を抱えながら、月々のやりくりするために違法とわかっていながらも低賃金で働いて何とかやりくりをしているシリア難民の父親。

紛争のために、目の前で人が殺される場面に遭遇してしまったシリア難民の少年。

貧困のために、盗みをしてしまう子どもとどう向き合えばいいか分からず悩むヨルダン人の母。

難民キャンプ内にいる夫と月に数回しか会えない、ホストコミュニティに住むその家族たち。

子どもたちへの教育の質を何とかしてほしいと、事務所に訴えに来るシリア人、ヨルダン人の親たち。

 

現地には、数え切れないほどの課題と、抱えきれないほどの悲しみがありました。それらを、何とかしたい。全部自分ひとりでは無理でも。どこかで関わり続けたい。その思いは、より強くなりました。

ブログ_塚田さん_②

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲厳しい現実の中でも、いつも笑って、楽しそうにはしゃいでいる子どもたちの笑顔を私たちは守り続けなければならない。

 

「戦争は悪である。」

 

その現地に蔓延る沢山の問題の根源が、戦争です。想像してみてください。突然、日本が外から、あるいは内側で内乱が起き、あなたが他の国に逃げなければならなくなった時のことを。昨日までの平凡な日常が、突然崩れ落ちていく時のことを。

戦争に巻き込まれるのは、そういった平凡な日常生活を送ってきた人達です。今でも、シリアでは日常生活を送る人がおり、そこに銃弾が飛び交い、空爆が行われています。彼らは、今までずっと争いを繰り返してきた人々ではありません。皆さんと同じように、会社に行って、学校にいって、夜には家族で団らんし、日々友人と笑いあって暮らし、時には観光客を温かくもてなしてきた人々です。

「戦争は悪である。」私はそう信じています。紛争や戦争は多様な要因によって引き起こされ、「自衛のための戦争」や「テロとの戦い」などいろいろな言葉で正当化されます。私は、法学部の学生であり、国際法を学んだ人間です。例外として認められ得る武力行使が国際社会において存在することは重々承知ですし、国ごとの政治的立場があることも理解しております。私が言いたいのは、そのような法的判断の話ではなく、広く人間としての価値観の話です。

戦争とは、無差別に人々の命を奪い、大切な人を奪い、日常生活を奪います。そこには何の正義もありません。あるのはただ、苦しむ人々の一人一人の姿です。世界中多様な価値観がありますが、私は「人の命を奪うことはいけない」ということだけは、誰もが共有できる価値観であり、そこから、戦争を悪として憎む姿勢というのは、国際情勢や、政治、難しいことを知らなくても、主張すべきことではないかと思うのです。

現地の難民の方々や、彼らをサポートする人々を見れば見るほど、そう確信に近づきました。なぜ今まで通りの日常を過ごすことが出来たであろう人々が、苦しまなければならないのだろう。紛争への怒りは増すばかりでした。

ブログ_塚田さん_③

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブログ_塚田さん_④

▲上の写真の少年が描いた「ライフライン」。上側に人生で嬉しかったこと、下側に悲しかったことを、左(過去)から右(未来)に向かって一本の波線で描く。その後、粘土で立体的に表現する。下側真ん中の赤い囲いは、父親が投獄されたこと、右側の黄色い人型は叔父の死を表す。紛争とは、こういうことだ。

 

「遠い国」ではなく、「友達」を支援してください。

 

戦争の悲惨さはわかった、でも、遠い国の話じゃないか。日本がなぜそこに支援をする必要がある?そんな疑問が湧いている方もいるのではないでしょうか。

 私も、うまく答えられませんでした。答えを求めて、スタッフへのインタビューでは、毎回聞いていました。「近くの人を救うことと遠くの人を救うことは変わらない」「日本がピンチの時に助けてもらった恩返しだ」「日本人を知ってもらうため」様々な答えを得ることができました。

 その上で自分なりに考え、一つの結論に至りました。それは、なぜ「日本」が関わるかを滔々と説明するより(それは今までのインタビューや、様々な国際協力機関の説明に任せましょう)、一人の日本人である「私」がなぜ関わるのかを書いたほうがいいということです。

 私の答えは単純でした。「たくさんのことを与えてくれた友達が、困っているから」です。彼らが、そこに住んでいるのです。だから、助けたい。紛争や対立が激しくなると、Facebookのタイムラインが、崩れた家々やご遺体、敵を非難する投稿で埋め尽くされます。それが私の日常です。彼らのために何かできることがあるのなら、したいのです。

 そして、そのためにも、多くの日本人の方々の協力が必要です。私は、「遠くの国」の支援はお願いしません。「私の友達」の支援をお願いしたいのです。まずは私の友達について、彼らのおかれている現状について、皆さんに知っていただきたいと思っています。今後もこのブログでは、次のインターン生が現地の様子を報告してくれます。引き続き読んでいただければ幸いです。

 

沢山の方々への感謝を込めて。

 

最後に、今までブログをお読みいただき本当にありがとうございました。時々「あれ読んだよ」という声をお聞きすることができ、Facebookでの「いいね」の数など、他のブログと比較しても多くの方に読んでいただけていることが実感でき、嬉しかったです。NICCOだけでなく、このインターンを通じて知り合ったすべての方々、支えてくださった友人、好き勝手させてくれた両親に感謝しつつ、最後のブログとさせていただきます。本当にお世話になりました。

ブログ_塚田さん_⑤

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▲演劇ワークショップの子どもたちと

インターン

塚田寛人