マルハバ!(こんにちは!)
NICCOヨルダン事務所インターンの稲垣です。
日本ではそろそろ桜が咲く卒業シーズンですね。この時期になると、無性にレミオロメンの「3月9日」を聴きたくなります。
こちらヨルダンでも別れの季節がやってきました。
NICCOのシリア内戦被災者支援ではシリア難民やヨルダン人貧困層を対象とした様々なワークショップを、1セッション数か月の期間に渡って開催しています。ここ数日、各ワークショップの修了式や発表会が次々と行なわれ、笑顔の参加者たちで会場は大いに盛り上がりました。
女性向け英語教室
まずは女性向け英語教室の修了式です。NICCOでは、避難生活による精神的ストレスを和らげるためにコミュニティスペースを設置して、様々なワークショップやセミナーを開催しています。そのなかで最もニーズの高かったものが英語教室です。女性向け英語教室は6クラス、総勢約60名もの参加者がおり、3か月間に渡る授業を経て迎えた修了式では、お洒落に決め込んだ女性で溢れかえっていました。子連れで参加されている方もいたので、会場はかなり手狭な感じでしたが、かえってアットホームな雰囲気になりNICCOらしさが出ていたと思います。
▲修了証書を受け取った笑顔の参加者
修了証書授与の後、日本人専門家の森尾さんが「私はあなたたちともっといろんな話をしたい、これからも英語の勉強を続けてください。」とスピーチして、参加者の女性たちが大きく頷いていたのが特に心に残っています。
子どもたちの心理社会的ワークショップ
続いてはザアタリ難民キャンプでの子どもたちを対象とした、心理社会的ワークショップの発表会と修了式の様子です。
心理社会的ワークショップは、過去の辛い経験を見つめ直し、内戦や日々の生活難で負った心の傷を癒すことを目的としています。そのワークショップの中心となる演劇活動では、自分の体験を超えて、他人の気持ちに寄り添い、役になりきることで、さまざまな体験を受け入れたり受け止めたりできるようになります。そして演劇発表会は3か月間練習してきた演劇の成果を披露すると共に、観劇にきた子どもたちの家族とも思いを共有する場でもあります。
発表会当日、子どもたちは満席の会場を前にはつらつと演技をしており、長台詞でも堂々と演じていました。少し失敗して困った表情になった子どもも、それはそれで可愛らしかったです。
▲一生懸命に演技をする子どもたち
▲満員の会場、スマホで写真や動画を撮影する親御さんたちもたくさんいました
演技終了後の子どもたちは晴れ晴れとした素敵な笑顔で、引き続き行われた修了式で修了証書を受け取っていました。観劇に来ていた子どもたちの家族も感慨深げにその姿を見守っていたのが印象的でした。閉塞的になりがちなキャンプ生活の中でのイベントだったので、とにかく盛り上がった発表会となりました。
▲演劇発表会を無事に終え、笑顔の子どもたちと安堵した表情の現地ファシリテーター
男性向け英語教室と木材加工ワークショップ
女性や子どもたちだけでなく、男性たちの英語教室と木材加工ワークショップの修了式も行なわれました。この男性の英語教室と木材加工ワークショップも女性対象の英語教室と同じく、シリア難民の避難生活における精神的ストレスや地域社会とのあつれきを軽減することを目的として開催しています。木材加工ワークショップでは避難生活のストレスを忘れ、日曜大工に励む男性たちの生き生きした姿を見ることができました。
▲ついに完成した棚たち
修了式当日は曜日ごとにグループ分けされていた参加者の男性たちが一堂に会し、その光景は圧巻でした。日本人スタッフから修了証書を一人ずつ手渡され、少し誇らしげな表情の方が多かったです。
▲会場はこの迫力
修了証書授与の後は参加者を囲んでの会食となり、和気あいあいとした雰囲気の中で式を終えました。式の後は木材加工ワークショップで出来上がった棚をトラックに積んで、笑顔で彼らもNICCOを去っていきました。
▲棚と男性たちとトラック
子ども向けアラビア語教室
最後はシリア難民の子どもたちを対象としたアラビア語教室です。アラビア語教室は小学校低学年から中学年の参加者が多く、先生をよく困らしてしまう程いつも元気いっぱいでした。そんな手がかかるけど可愛い子どもたちもついに卒業です。
アラビア語教室最終日は、まず期末テストを行ない子どもたちの学習成果を測ります。子どもたちは少し緊張しながらも一生懸命テスト問題を解いていました。その後、修了式を行ない、先生から一人ひとり修了証書を手渡されました。修了証書をもらった子どもたちは、元気いっぱいに飛び回り、友達と見せ合ったりして、とても嬉しそうでした。
▲修了証書と一緒に
シリア難民のなかには、勉強する環境が整っていないため、文字の読み書きさえもおろそかになりがちな子どもたちが少なくありません。この3か月間のアラビア語教室が彼らにとって、未来を切り開く力の一助になればと思います。
▲みんなで記念撮影
さいごに
各ワークショップの修了式では、「避難生活の辛さを他の参加者と共有することで心が軽くなった」「新たな友人ができた」といった話も聞くことができました。老若男女問わず、このNICCOでの経験が今後の避難生活を少しでも和らげるよう願ってやみません。
NICCOのシリア内戦被災者支援はまだまだ続きます。また新しい参加者たちを迎えてのセッションが始まります。次はいったいどんな出会いがあるのでしょうか。春の訪れと同じように、少しワクワクしながらも、少しでも彼らの力になれるよう支えていきたいです。