マルハバ!(こんにちは!)
NICCOヨルダン事務所インターンの稲垣です。
日本では桜が咲き、お花見のシーズン到来ですが、こちらヨルダンではアーモンドの木がきれいなピンクの花を咲かせています。桜の木もアーモンドの木も同じバラ科サクラ属になるので花の見た目はよく似ています。アーモンドの木の下でお花見も悪くないですね。
▲アーモンドの木
ただ、この木がヨルダンでの花粉症の原因になっているとの恐ろしい噂も、、、
そんなヨルダンから今回は、折り紙ワークショップの様子についてレポートします。
子どもたちの折り紙ワークショップ
インターンとしてヨルダンに来てから、シリア難民の方たち、特に子どもたちと直接関わることが多く、そのなかで普段の支援だけではなく何か違う形でも彼らにできることはないかとずっと考えていました。そこで先日、シリア難民の子どもたちを対象とした折り紙のワークショップを開催しました。
▲ワークショップの様子
折り紙でワークショップを開こうと思ったきっかけは、ヨルダンの隣の国パレスチナで子どもたちに向けて折り紙教室を開いているパレスチナ人の活動をインターネットで知ったことでした。彼らは子どもたちの創造性と知性を育む教育に欠けるパレスチナで、創造力・想像力、そして集中力を高める教育を目指しており、その題材として折り紙を活用していました。
現在、「オリガミ」は国際語ともいわれ、日本だけでなく、世界各国にその愛好者が増えています。基礎的形態教育、幾何学的推理能力などの知能開発教育の方法として、見直され始めています。もちろん子どもたちの情操教育に対する効果もすでに認められています。
シリア難民の子どもたちが普段通う学校でも机上で学ぶ理論が中心で、図工、音楽、体育などの授業はなく、五感や手を使った情操教育が少ないです。折り紙を利用するという日本のNGOならではの方法で、少しでも子どもたちの創造力・想像力、集中力を養うことができれば、という思いからこのワークショップは始まりました。
最初にこのワークショップを開催するにあたって、折り紙の勉強から始めなければいけませんでした。折り紙は折鶴ぐらいしか折ったことがなく、インターネットを利用して、どういった題材を折り紙にするかを考えました。そして、分かりやすく初めてでも簡単に作れる「ハート」と「鉛筆」を題材にすることになりました。
▲ワークショップで利用した「ハート」と「鉛筆」の作り方の図
またワークショップはシリア難民の子どもたちを対象とした英語教室の一部の時間を使って行うため、英語教師のマラックにも協力してもらいました。事前にいくつかの折り紙を見せて、作り方などを教えたのですが、彼女は色とりどりな折り紙をとても気に入ってくれて、積極的に手伝ってくれました。しきりに「かわいい」と連呼していて、乾燥した大地のヨルダンでは折り紙のようなカラフルなものは珍しいのかもしれません。
そして迎えた本番当日、マラックと現地スタッフのガラームに手伝ってもらい、シリア難民の子どもたちに折り紙を教えました。冒頭は英語の勉強の一環として折り紙を見せながら、色の英単語を復習しました。子どもたちは「レッド!」「ブルー!」「グリーン!」と大きな声で叫びながら、早くも折り紙に興味津々です。そしてさっそく好きな色の折り紙を選び、折り方をレクチャーします。
▲英語教師のマラックも手伝ってくれました
あまり難しい英語だと分からないので、マラックにアラビア語に通訳してもらい進めていき、実演もしながら子どもたちには見よう見まねで「ハート」と「鉛筆」を折ってもらいました。子どもによっては英語の授業のとき以上に真剣な顔で取り組んでいて、折り紙に悪戦苦闘する姿がとても可愛らしかったです。
▲一生懸命、折り紙を折る子どもたち
1か所折るとすぐに「次は?次は?」と急かしてきます。事前に作り方を覚えてもらったマラックとガラームにも子どもたちのサポートをしてもらい、なんとかみんな完成することができました。子どもたちはおそらく人生初の折り紙だったので、みんな苦戦していましたが、「ハート」と「鉛筆」が出来上がったときはとても満足気でした。一枚の紙からハートや鉛筆を作れたことに少し驚いて感動しているような子もいました。自分が思っていたよりも子どもたちは折り紙に興味を持ってくれて、ほかの折り紙も教えてとせがまれました。女の子は花や動物の折り紙、男の子はやっぱり紙飛行機が人気でした。もっと時間があれば色々教えたいと感じました。
▲完成した折り紙と笑顔の子どもたち
▲男の子には青色が人気
▲子どもたちが作った作品
あっという間にワークショップの時間が終わり、みんな自分で作った折り紙を大事そうにカバンにしまって帰っていきました。帰り際に子どもたちが習った折り紙を学校や家庭で親や友達に教えたいと言っていたのが、なんだか嬉しかったです。
今回、初めて開催してみた折り紙ワークショップ。どこまで子どもたちの力になれたか分かりませんが、彼らが将来、何か新しいものを創り出す、生み出す、原動力になればと思います。また、折り紙を通して日本にも興味を持ってくれたら幸いです。これからもいろいろな方法、いろいろな形でシリア難民の支援ができるよう、また新しい何かを考えていきたいです。