2017年04月11日(火)

学校の子どもたちが安心して水を飲める体制づくり(その3)

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こんにちは。小柳です。私は、パレスチナ・ガザ地区人道支援スタッフとしてエルサレムに赴任しています。

前回のレポートで、ガザ市内ゼイトゥンの学校4校に接続が完了した2基の脱塩装置。よく晴れ渡った2月の午後、専門機関や当会提携団体エンジニアによる水質のチェックも基準値を満たし、無事、設置場所の屋上にてオープン・セレモニーを迎えました。

ついに脱塩装置が稼働します!

▲脱塩装置の開幕式でテープカット

 

教育省、施工業者等、関係者立ち合いの元、早速稼働、と思いきや、装置がぴくりとも動きません。あれれ、どういうことか、と尋ねてみると、ちょうど停電中、とのこと。

ガザ地区では、エリアごとに一日当たり3~12時間ほどしか街の電力が供給されていないのが現状です。幸い、この日は、30分ほどで電気が回復し、装置の初始動の様子が視察できました。

▲ついに稼働!事前検査通り、水質の安全指標TDSは18 ppmと市販の水レベル!

 

脱塩処理された水は送水管を通じて水飲み場のタンクへと運ばれ、4校2シフト、約5,000人の子どもたちの飲み水となります。そのために、TDSをはじめ様々な安全指標は、現地政府やWHOの提示する水質基準値をクリアしていることが確認されています。

 

安全な水に関するワークショップを開催

脱塩装置を設置した学校では、安全な水についてのワークショップやレクリエーションも行いました。こうやって、貴重な水について教えることで安全な水を大切に飲んでくれるようになるといいですね。

▲先生向けワークショップ。脱塩装置のメンテナンスや水質基準について学びます。

▲子ども向けワークショップ。飲み水について感じたことを描いてくれました。

 

NICCOの事業は、脱塩装置の設置のみにとどまりません。設置されたインフラをガザの人々が自律的かつ持続的に管理・運営し、学校の子どもたちが安心して水を飲める体制を整えてはじめて意味を持つものです。先生たちには、脱塩装置の管理方法、ゲージや数値の確認方法等、技術的な知識も伝えます。子どもたちには、楽しく水衛生について学び、考えるきっかけをつくります。

 

▲全校生徒集めてのオープン・イベント。水衛生の教育に地元のエンターティナーも協力!

 

ペットボトルの水を片手に、ガザの水事情、水にかかわる衛生問題や健康問題について、パフォーマンスを通じて分かりやすく子どもたちに伝えます。この後、劇中、脱塩処理されていない水を間違って飲んでしまったエンターティナーがバッタリ倒れてしまいます。度重なる打ち合わせの末、NICCOの事業の意図をよく汲んだ綿密な筋書を構成してくれました。

 

▲熱意あふれるパフォーマンスに子どもたちも大盛り上がり

 

たった3名のエンターティナーで4校2シフト、合計8回の大イベント。会場設営・片付けも含め、大忙しで駆け巡ります。ガザ出身ガザ在住の彼らのうち1名は、子どもと背丈の変わらない小人症の青年。5000人の子どもたちに喜んでもらうために、全身全霊パフォーマンスに打ち込む姿には、大人たちも心を打たれます。

 

▲配布されたTシャツを着て子どもたちも負けじとアラビア語の歌やダンスを披露

▲子どもたち一人ひとりに水の衛生意識に関するパンフレットを配布

▲これからも学校の子どもたちが安心して水を飲み続けられますように

 

今後とも応援よろしくお願いします!