ブログをご覧の皆様、こんにちは!
NICCOインド事務所の駐在員、萩原です。
日頃よりNICCOの活動をご支援頂き、誠にありがとうございます。
さて、
前回のブログ記事、「インドでの有機農業の技術普及事業の紹介【実地研修編】」でご紹介したように、インドでは有機農業の技術普及事業を行っております。
NICCOでは大きく三つの方法を用いて有機農業の技術普及を実施しており、今回は最終回という事で、3つめの方法をご紹介いたします。
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- ワークショップを通じた有機農業の研修 (←前々回ご紹介)
- 実践を通じた有機栽培のスキルアップ研修 (←前回ご紹介)
- 有機農業の先進地での研修 (←今回ご紹介)
実践を通じた有機栽培のスキルアップ研修を行った後には、既に有機農法を実践している有機農業の先進地へ研修旅行に行きます。
今回の記事では、当会の事業地が位置するビハール州内にある、「ジャムイ村」への研修旅行の様子を写真と共にお伝えいたします。
有機農業先進地への研修旅行の一番大きな目的は、既に農民自ら有機農業のメリットを理解して、有機農法を実践している他地域の活動を見る事で、当会が普段共に活動している農民の有機農業への意欲をかきたてる事にあります。
【写真①:出発前の集合写真】
2021年8月24日に事業地のブッダガヤ市からバスで6時間程の距離に位置するジャムイ村に研修旅行へ行きました。
参加者は約20名の農民で、彼らは前回・前々回のブログでお伝えした研修にも参加しています。
ジャムイ村は、環境保護事業を行う国際NGOが有機農業を推進するためのモデル村として選定し、活動を展開している村です。
そのNGOは農民が持続的に有機農業を行う事が出来るように、資金や資材の提供は農民に対して行わず、インド政府の助成金の申請補助や、情報の共有、知識の伝達を行う事に活動の重きを置いています。
【写真②有機農業先進地:ジャムイ村での集合写真】
そのNGOの支援を受け、ジャムイの農民達は以下の3つの設備を整えるための助成金をインド政府機関から受けています。
- 環境に配慮したエコロジカルサニテーショントイレ(通称エコサントイレ)
- 牛糞から発生するメタンガスを燃料に変換するバイオガスプラント
- ミミズ堆肥を作るための設備
【写真③エコサントイレ】
エコサントイレは、当会の 事業やケニア事業においても建設を推進しているトイレです。エコサントイレは高床式のため、汚水が流れ出さず、感染症の拡大や水資源の汚染を防ぐことができます。 また、便と尿を分けて集め、肥料として農業に使うことで、収穫量を増やし、化学肥料の使用を減らすことが可能になります。こちらの地域で導入されているエコサントイレは、当会のエコサントイレと異なり、小便用の便器が個別で隣に設置されています。
【写真④バイオガスプラント】
インドでは、牛を飼育している家庭が多く、牛が排出する糞尿を適切に処理する事は環境保護の観点において非常に重要な意味を持ちます。こちらのジャムイ村で有機農業を行う農民は、牛の糞尿から発生するメタンガスを、日常生活用のガス及び、有機農業の肥料に変換するためのバイオガスプラントを、各家庭に設置しています。
【写真⑤ミミズ堆肥場】
上述のガスを抽出した後の牛糞は、次にミミズ堆肥の生産へ使用されます。つまり、牛糞は、日常生活用のガスを生み出した後、有機農業の堆肥になるという一石二鳥な仕組みとなっています。
【写真⑥壁に書かれているのは有機肥料の作り方、手前のバケツは生産中の肥料】
また、有機農業の知識を村人が習得できる様に、有機肥料の作成方法や環境問題に関する啓発バナーなどを村の複数個所に設置してあります。
【写真⑦環境問題と有機農業に関する知識を説いているバナー】
上述のようにジャムイ村では、農民とNGOが一体となり、様々な政府の補助制度を活用し、有機農業を推進しています。このような先進地を視察する事は、NICCO事業地のブッダガヤの農民にとっても参考となる機会となります。
最後には村人同士の意見交換なども行います。
【写真⑧意見交換を行う農民達】
研修旅行に参加した農民からは、「普段中々目にする事のない有機農法を実践し、生計を立てているジャムイ村の農民の活動を直接見学し、意見を交わす事で、有機農業への転換の意欲が沸いた」というような感想も頂いています!
さて、全第3回に渡り、当会インド事業の有機農業指導方法に関してお伝えさせて頂きましたが、如何でしたしょうか?
慣行農法から、いかに有機農業に移行してもらうかを考えながら事業を実施しています。
次回以降も、農民との関わりや、収穫の様子や販売の様子などの情報を皆さんにお届けいたします!