遅れましたが、明けましておめでとうございます。
ヨルダン事務所インターンの北垣です。
シリアでの内戦が人道的な危機として国際的な問題になってから、今年で7年目に入ります。
積極的にシリア難民を受け入れてきたヨルダンでは、国際的な支援が不足する中で、多くのシリア難民が十分な食料を確保できていない状況におかれています。
また、難民の流入によって、自国の貧困層への支援が不足し、経済的に厳しい生活を強いられている家庭が存在しています。
2018年1月、NICCOは国際移住機関(IOM:International Organization for Migration)と連携し、ヨルダンの都市部に暮らすシリア難民(※1)に生活物資の支援を行いました。
本配布プログラムでは、シリア難民の中でも特に弱い立場におかれている人々(母子家庭や世帯主が女性である家族)の内、約1,500世帯を対象に、各家庭に70ヨルダンディナール(約11,200円)分のバウチャーを配布しました(※2)。NICCOは地元のスーパーマーケットと提携しており、バウチャーを使って食料品や日用品の購入が自由にできるようにしています。
▲写真「NICCO職員からバウチャーを受け取るシリア難民の女性」
先日、このプログラムを視察するために、在ヨルダン日本大使館より柳秀直大使とIOMよりEnrico Ponziani駐ヨルダン代表が当会ザルカ支援センターを訪問されました(※3下記リンクから関連記事を見ることができます)。
▲写真「NICCOの事業について当会現地代表の磯田(左手奥から二人目)が説明。 柳大使は右手中央、Ponziani代表は左手手前から二人目」
バウチャーの配布後は、その使用方法について事後調査を実施しています。支援額は十分か、どのような使われ方をしているか、配布方法に改善点はないか等、難民の家庭を訪れて聞き取りをしています。
また、提携しているスーパーマーケットでも調査を行い、商品の販売価格は適正か、バウチャーの使用に問題はないか等、細かく確認しています。
▲写真「スーパーでのモニタリングの様子(左はシリア難民の男性。手に持っているカードがバウチャーです。)」
NICCOでは、支援者の皆様や一般企業、日本国政府や国際機関からのご支援により、今年度はシリア難民5,515人、ヨルダン人貧困層2,364人を対象にバウチャーの配布を行います。また、紛争のトラウマを抱えた子どもたちに心理社会的ケアを提供したり、母国を離れて暮らす難民が安心して過ごせるコミュニティースペースを整えたりしています。
本年も、皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。
(※1)シリアからヨルダンに逃れた約65万人の難民のうち、約21%(14万人)は難民キャンプで暮らし、約79%(51万人)は首都アンマンなどキャンプの外で暮らしています。当会の支援センターが置かれているザルカにも、約47,000人の都市難民が住んでいます。以上の数値はUNHCRの資料(http://data.unhcr.org/syrianrefugees/region.php?id=73)を参照。
(※2)バウチャーとは、商店で額面分の商品を購入することができる引換券のこと。NICCOはシリア難民やヨルダン人貧困層の家庭状況や他機関からの支援状況などを総合的に判断し、特に支援を必要としている人々を選定してバウチャー配布の対象としています。バウチャーに関する過去のブログ記事(https://kyoto-nicco.org/projectblog/syria170227)。
(※3)大使来局時の関連記事
①The Jordan Times(2018年1月10日付):http://www.jordantimes.com/news/local/1500-refugee-families-receive-aid-vouchers-iom-japanese-ngo
②IOM(2018年1月12日付):https://www.iom.int/news/un-migration-agency-japan-help-1500-syrian-families-survive-winter